ようやく最終仕上げの工程に入ります。今回のソール交換はいつもより苦労しましたので、一連の仕上げ作業の「ご褒美感」も三割増しでした。
コバの色を染めます
コバ周りの染色と合わせて、土踏まずも黒くします。いわゆる「半カラス」仕上げです。現物合わせで境界の形を決めて、マスキングをしておきます。
靴底の接地する部分を染めないのは、床を汚さないための配慮だそうです。塗料や染料の性能が現在ほど良くなかった時代の名残かも知れませんね。

だし縫いの糸と部分的に色が抜けているウェルトは細い筆を使ってインクを塗ります。
糸が黄色っぽいのは「チャン」のためです。そのままでは少し違和感がありますので、薄い色で染めてステッチを活かした仕上げも試してみたいと考えています。

染色が終わりました。黒くすることで、ウェストがさらに締まって見えるようになります。
最近はヒールのアゴも黒くするパターンが気に入っています。仕上げのアラも目立ちにくくなりますし(笑)

熱ゴテを掛けます
熱ゴテでロウを溶かし込んだ後、Tシャツの端切れで磨き上げました。かかとの積み上げに丁寧に紙やすりを掛けたことが、この段階での艶に反映されます。
濡らして形を整えて乾かすことで成形したベヴェルドウェストは、防水効果を期待して特に念入りにロウを浸透させました。

小口ゴテを使って「額縁仕上げ」にしました。これも最近気に入っているディテールです。

靴底をステインで染めます
そのままの色合いも良いと思いましたが、ドブ起こしの跡が目立つので着色することにしました。こちらもウェスで磨いて光らせます。
実は、この作業と額縁仕上げのどちらを先にやると良いか?迷い中です。

靴磨きをして完成です
剥がしておいた中敷きを貼り直して、靴磨きをして、靴ひもを通せば、修理完了です。靴好きな方が見れば、土踏まずに「何か細工がしてある」ことがさりげなく分かる感じでしょうか?
ふとしたことから始めた今回のチャレンジでしたが、何とかギブアップせずに終わらせることができました。次の機会では、今回の気づきを活かし、さらなる色気の向上(←それかい!)を目指したいと思います。
最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました。

コメント