スコッチグレイン 3526 アシュランス 自分でオールソール靴修理4 染色・こて掛け・仕上げ

アシュランス
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いよいよ仕上げの段階に入りました。派手なものから地味なものまで、色々な作業を一気にご紹介します。完成に近づいていく様子をお楽しみ頂ければ、と思います。

ヒールライニングの補修

いきなり地味な作業で申し訳ありません(笑)

かかとの内装が傷んで穴が開いていましたので、革を当てて補修しました。ミシンの縫い目を拾って一針ずつ手で縫って行きます。目は疲れますが、想像されるほど難しい作業ではないと思います。

手縫い
どんな作業も、つま先とかかとの急カーブが難しいです・・・

縫い目が隠れるように折り返して、接着剤で貼り付ければ補修完了です。

ヒールライニング補修
この上から中敷きを入れて、ギザギザは隠します

トップリフトの化粧釘

最近、釘打ちの調子が良いような気がして、久しぶりにご覧の様なパターンにしてみました。半月型のゴムが付いたヒールに合っていると思いますが、いかがでしょう?

ハンマーの首ではなくグリップを持つのと、靴を台金にキチンと当てるのがコツのような気がしています

化粧釘の打ち込み
打ち損じは4本でした。まずますです。

釘の頭をニッパーで切ってから、トップリフトも含めて、やすりで研磨しました。中央にポツンと打ってある一本がチャームポイントです。

磨いた化粧釘
ゴムの部分は磨かないようにしてみました

熱ゴテ

続いて、本底の前半分も紙やすりで磨きます。いつもは#240まででしたが、今回は#600まで掛けてみました。底を染めた時の仕上がり具合が楽しみです。

靴底に紙やすり
細かい紙やすりほど掛ける時間が短くなります

マスキングをしておいて、黒の早染インキでコバと土踏まずを染色します。土踏まずだけ染めるのは『半カラス』と呼ばれますが、境界線の形と面積をどうするか、毎度頭を悩ませます。

私は、半カラスの面積は「狭め」が格好良いように感じます。たくさん良い靴を見て(買うとは言ってませんよ)審美眼を養わないといけませんね。

インクで染色
できるだけムラの出ないように…

温めて溶かしたロウを塗り付けておいて、熱ゴテで革に浸透させつつ、コバ上端のエッジが立つように仕上げます。しっかり浸透させようとすると、意外に時間の掛かる作業です。

熱ゴテ
黒のロウは実は青っぽかったりします

浸透し切らなかったロウをしっかりと拭き取ると、じんわりとした光沢が現れます。

靴修理をしていて、好きな瞬間の一つです。

半カラス
黒い部分が少なすぎるような気も・・・

ソールの染色と額縁仕上げ

ソールステインを塗って、乾き切らないうちに布で磨き上げます。♯600の紙やすりの効果は・・・よく分かりませんでした(笑)が、それでも艶が出るのは気持ち良いものです。

ソールステイン仕上げ
かなりしつこく磨きます

小口ゴテを使って、額縁仕上げにしました。ソールステインの上からロウを浸透させることを意識して、コテを当てる時間を長めにしてみました。

こての加熱中
ロウを付けておいて熱ゴテを掛けます
ヒールの額縁仕上げ
すると、こうなります

靴底の作業はこれで終わりです。

前半部分の曲面と土踏まずのモッコリ、その間のつながりなど、全体の形状のまとまりは自己ベストを更新できたと思います。

備忘録も兼ねて、今回のポイントは

  1. 前半部分の中ものは、元々ついていた平らなものを再利用しましたが、本底はふっくらした曲面にできました。コルクの中ものに換える場合、削る時に積極的に丸くする必要は無さそうです。
  2. 土踏まずのモッコリは革シャンクで形成しました。前半部分とのつながりも、作り込んでおく必要性を再認識しました。
  3. 本底のだし縫いの溝を、これまでよりも少し外側にしました。縫った時の本底+ウェルトの変形が抑えられたような気がします。
ソールの仕上げ完成
かかとの色が少し薄いのが気になる・・・

靴磨き

最後に新しい靴紐を通せば、長かった修理も完了です。履き込まれた靴が持つ魅力が出ていると思うのですが、いかがでしょう?

毎回、同じような作業なのですが、思い描いた仕上がりや形に少しずつ(わずかです)近づいているように思います。一方で、色々と反省点も尽きない訳で・・・キリがないですね。

前から見たところ
ちなみに、この椅子は40年ほど前に中学校の授業で作ったものです

後ろから見た感じです。本底の土踏まず部分を薄くした効果がお分かり頂けますでしょうか?スクエア気味のつま先も魅力的なアングルです。

しつこいですよね。

えぇ、いわゆる靴好きですから。

後ろから見たところ
かかとのハイシャインは境界が難しくてできません

「さりげない」「どことなく」的な格好良さを出したいと思っています。そういう意味では、ピカピカに磨きすぎですね。

今回も、最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました。

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