Berwick バーウィック 3637を自分でオールソール交換 その3 本底取付け編

本底取り付け完了
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大好きな手縫いでの「だし縫い」前後の作業をご紹介します。私にとっては、オールソール修理のメインイベントです。

今回の修理では、ハーフミッドソールとフィドルバックを仕込んでありますので、コバの変化や土踏まずの立体感もこの工程で作り込むことになります。

全体のイメージを必死に整える様子をご覧ください。

貼り付ける前に本底を加工します

フィドルバックにするために、本底の貼り付ける方の面に加工を入れます。

  • 土踏まずは横から見た時に薄くなるように、厚さ3ミリまで削りました
  • フィドルバックが「パキッ」と出るように、削った土踏まずと前半部には意図的に段差を作りました

別たちとガラスで削っておいて、木ヤスリで接着面を荒らせば完了です。

本底の前加工
この「モケモケ」は削り落とします

土踏まずと前半部には段差がありますので、貼り付けてからドブ起こしをすると、段差で「スパッ」と行ってしまう危険性があります。

そこで、今回は貼り付ける前にドブ起こしをすることにしました。

土踏まずは3ミリ程度の厚みですので、ドブ起こしが厚くなり過ぎないように注意が必要です。

例えば、2ミリも起こしてしまうと、残りの1ミリに「だし縫い」を掛けることになり、破れる可能性があるからです。

ドブ起こし
写真はイメージです(後から撮ってます・・・)

本底を貼り付けます

いつもの手順で本底を貼り付けます。

  1. ゴムのりを塗って乾かし
  2. 貼り付けない側の面を濡らして革を柔らかくし
  3. ゴムのりを熱活性させ
  4. 貼り付けて
  5. こくり棒で面をならす

貼り付ける時に靴底を滑らかな曲面にする工夫は、こちらの記事をどうぞ。

貼り付けてからコバを削って整えたところです。後ほど整え直すことになりますので、この時点では削り代を1ミリ弱ほど残してあります。

ハーフミッドソールによる靴底の厚みの変化と、フィドルバックの組み合わせが見えてきました。

前者はカジュアル寄り、後者はドレス寄りなので、ちぐはぐなのかも知れません。私は好きですけど(笑)

本底貼り付け完了
やはり顔に見える・・・

だし縫いをします

いい加減にクドイのですが、「このために靴修理をやっている」と言っても過言ではありません。

はやる気持ちを抑えつつ、準備の作業が続きます。

靴底の屈曲部が厚いため、革が馴染むまでは爪先の摩耗が速いと思われます。このタイミングでトゥスチールの取付部を加工しておきます。

トゥスチール用加工
スチールの削り代を最小限にする狙いです

ドブ起こしのピラピラを水で濡らして柔らかくしておき、めくります。この後の作業で邪魔にならないように、ハンマーで軽く叩いてしっかり起こしておきました。

ピラピラを起こす
厚くて硬い部分は水が多めです

糸が収まる溝を掘れば、ようやく「だし縫い」の準備完了です!

溝掘り
溝深さは1.3ミリ狙いです

プロの方は「ガリ」という道具を使われるようですが、こちらはガイドも付いていて使いやすいです。

久しぶりのダブルソールは、だし針を刺し通すのに苦労しましたが、ステッチが粗めでしたので、片足3時間くらいで縫うことができました。

前回のオールソール交換で、だし縫いの穴を増やしてしまっていますので、正確な縫いピッチが分かりにくいですが、ダブルソールと粗めのステッチはカジュアル寄りのデザインだと思います。

髪の毛が伸びました

ドブ伏せをして一区切りです

ピラピラが剥がれないように、接着面はガッツリと荒らしておきます。

ピラピラを荒らす
紙やすりは#60です

ゴムのりを塗って水で濡らしてからピラピラを貼り戻しました。この工程でもハンマーとこくり・・・棒で叩いたり擦ったりして、底面が滑らかになるまで根気よく作業することが大事だと考えています。

ドブ伏せ完了!
エッジが出るように仕上げます

一連の作業でコバ面が狂いますので、もう一度「別たち」で削り直して仕上げます。この後、木ヤスリなどで磨くことになりますが、形状と角度はここで決めるつもりで作業するようにしています。

次は、革を積み上げてヒールを形成する工程に入ります。例によって、ちょっとした試みを計画していますので、今から楽しみです。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

コバ決め
最近、別たち用の砥石を買いました!

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