Berwick バーウィック セミブローグの革靴を自分でオールソール交換 その1 分解編

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スペイン製のバーウィックを靴修理する機会に恵まれました。この記事では、ヒール外しから本底剥がしの分解と、丸洗いから乾燥までの作業をご紹介します。初めて手にするブランドですが、ご多分に漏れず、ヨーロッパ靴らしく修理のしやすさが考えられた合理的な構造をご覧になれます。

点検がてら・・・分解し始めます

デュプイ社のボックスカーフが使われているらしく、しっとりとしたツヤのある表情をしていますね。また、やや細長い爪先と前半部の薄さ(甲が低い)が相まって「小さく見える」私の好みの見た目です。

もちろん、見た目よりも足にフィットしていることが大事ですね。

それはそうと、この靴ひもの結び方、「スリッポン」として使われていたようです。勿体ないなぁと思います。

キレイなアッパー
全体にシュッとした印象です

この靴はハーフラバーが貼ってありましたので、貼り替えるだけで修理が済む、と思っていましたが・・・

  1. 剥がれかかったハーフラバーの下を見ると、だし縫いの糸が完全に切れています。ハーフラバーを貼る時に本底を荒らすために削ったとしては、行き過ぎな感じがします。
  2. ハーフラバー越しに見える靴底の形が凸凹すぎるように思います。

イヤな予感とともに、まずはハーフラバーを剥がしてみることにしました。

剥がれたハーフラバー
「ん?」

剥がしてみると、疑問は晴れました。

本底は完全にペコペコしており、つま先は磨り減っていて革を継ぎ足し(アタッチ)されています。つまり、オールソール修理の代わりにハーフラバーを貼り付けたということでした。

ハーフラバーは本底の摩耗を予防するためには有効ですが、摩耗した本底の補修にはならないと思います。摩耗による中底の沈み込みを修正できないからです。

ということで、オールソール修理することに決定しました。

本底がペコペコ
納得した瞬間です

オールソール修理するとなると、ヒールは取り外しますので一気に進めます。

ゴムベースのトップリフトは「べリベリー」と簡単に剥がすことができました。

トップリフトも崩壊
こうなるんですね~

積上げもマイナスドライバーを使って取り外しました。ナンポウ(集成材)ですので、再利用はできませんね。

簡単に外れた積み上げ
これも外しやすかったです

本底を剥がします

本底を剥がす前に、「別たち」を使ってだし縫い・・・・の糸を削り切ります。

刃の研ぎも含め、少しずつ思い通りの作業ができるようになってきました。

だし糸を切る
糸が点になるまで削ります

本底を剥がしました。鉄(?)シャンクは布のようなもので覆われていて、その上から練りコルクが充填されています。

本底の剥がしやすさに加えて、練りコルクも簡単にこそぎ取ることができました。接着剤が良いのだと思いますが、分解しやすい=修理しやすい造りになっていることが、よく分かります。

同じスペイン製のヤンコも、修理しやすい構造でした。スペイン靴、恐るべし・・・

特長的な中もの
キレイに剥がれました

だし縫いの糸は化繊で紐のような編んだ構造に見えます。これが解きやすくて、糸を取り外す作業もすんなりと終わりました。

だし縫いのピッチが広めで、(写真では分かりませんが)ウェルトも厚くしっかりしています。また、かかとのハチマキも本革のものが釘でガッチリと取り付けられています。

どう見ても、本底を貼り替えながら履き続けることを大前提とした造りになっているのです。そんな意思を受け止めて、しっかりと修理しようと思いました。

だし縫いの糸を除去
こちらもスムーズに作業できました

今回も丸洗いします

丸洗いの前に、アッパーに積もったクリームやワックスをクリーナーで落としておきます。レノマットリムーバーはいつもの強烈な臭いを発しながら、ガンガンとワックスが拭き取れます。

古いワックス
コッテリ取れます

丸洗いに使ったサドルソープにも補油成分が含まれているようですが、さらに革が乾き切る前に十分な油分補給をするようにしています。

油分補給
まだワックスが残っています・・・

あとは、新聞紙をギュッと詰め込んで、全体の形を整えた状態で乾燥させます。

沈んだ中底を平らに整える時に、リブテープやウェルトの歪みを矯正するイメージで作業してみました。イイ感じだと感じましたので、記事にしてみようと思います。

次は「中もの」の工程です。構造を自分好みに変更する予定ですので、よろしければご覧下さいね。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

乾燥中
この時点で型崩れはかなり・・・補正できました

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