チーニー セミブローグ 「中底交換に挑戦」 自分でオールソール靴修理6 仕上げの工程を完成まで一気に!

仕上がりを眺めています
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チーニーの修理最終回は盛りだくさんです。

「行ったり来たり」しながら思いつくままに作業している様子がお分かり頂ける、ノーカット長編大作(汗)をお楽しみ頂けますと幸いです。

完成を急ぎたいところですが、ライニング補修です

かかとのライニングが傷んでいますので補修します。その前に

  • 中底に出ている釘の先端をカバーする
  • オリジナルのクッションスポンジの代わり

の目的で、厚さ1ミリくらいの柔らかい革を貼り付けました。

中底に出た釘
釘の位置がバラバラ(汗)
中敷きの中敷き
決して腕の悪さを隠している訳では・・・

中底に出ている釘の先端は、打ち込んだ時点で台金に当たって曲がっていますので、足に突き刺さることはありません。

その次は、いつものライニング修理です。

ヒールライニング補修
少しずつ真っ直ぐ縫えるようになってきました
こうなります
クッキングシートを利用します

はやる気持ちを抑えて、化粧釘です

いよいよ「底面の仕上げに入ろう!」と意気込みましたが、かかとが殺風景なのに気付きました。そう、化粧をするのを忘れているのです。

ということで、まずは「ギン面」をガラス片で削り落としておきます。

ギンを掻く?
ガラス片は本当に便利です

化粧釘のパターンはオリジナルをコピーしてみました。

ですも
ですも

ダブテイルのトップリフトも元の雰囲気に合わせたものです。

化粧釘のパターン
ダイソーのコンパスが大活躍です

真鍮釘を途中まで打ち込んで切り落としてから、やすりを掛けて滑らかに仕上げます。

化粧釘の仕上がり
内外でビミョーに間隔を変えて調整しています

ようやく「こて」の作業です

コバ仕上げの前に、底面との角を面取りしておきます。金やすりを使って面取りの幅が一定になるように角を削ります。

面取り
このヒモが出るように優しくやすりを掛けます

コバを水で濡らしてから、ずぼらゴテをギュッと押し当てて革を押し固めます。

こうすることで、コバの上端(ウェルトの角)がピシッと一本の線になっていると思うのですが・・・

空ゴテ前後
右が作業前、左が作業後です

本底のギン面を落としました。少し勿体ないような気もするのですが、これをしないと染まりませんので。ガラス片で削り落としてから、#120と#240の紙やすりで肌を整えておきます。

ここもギンを掻く?
土踏まずのドブ起こしが少し薄かったかも・・・

完全に私の好みだけの理由で、靴底は半カラス仕上げにします。今回も、使用済みの「魚拓」を活用してマスキングの型紙を作りました。

半カラスのマスキング
半カラスの面積は「少し広め」を意識しました
糸を染める
ステッチ好きには少し悲しい作業です

コバも染めました。ヒールの積み上げは、できる限り均一に仕上げたつもりでしたが、インクを入れると作業の甘さが一目瞭然です。難しいですね。

インク染め完了
今回はこの角度を定点観察しています

染めが終わったら、熱ゴテでロウを浸透させる作業に入ります。コテの形は相変わらず怪しいですが、温度調節を含めて作業には慣れてきました。

熱ゴテ
右手が「低温やけど」気味になります

表面に残ったロウを温めたボロ布で拭き取ると、えも言われないツヤが出ます。いや、艶と書くべきエロさすら感じます。

興奮はさておき、これでコバの作業は完了です。

ですも
ですも

インク染め直後に見られた「アラ」も目立たなくなりました!

熱ゴテ後の艶
半カラスのバランスも、まずまずでしょうか?

思い付きでヒールに飾り車を入れました

今回は積み上げの枚数が多かったためか、なぜか「ヒールが間延びしている」ような気がしましたので、初めてギザギザ模様を入れてみました。自分的には気に入っているのですが、いかがでしょうか?

かかとの装飾
奥が「作業後」です

いよいよ靴底を仕上げます

本底をソールステインで染めました。たまには違う色にしたいのですが、今使っているステインが無くならないので(;´Д`)

ソールの染め上がり
土踏まずのモッコリの素を、もう少し前にしても良かったですね

とどめは額縁仕上げです。今回は、色濃くしっかりと段差が付くように、

  • 時間を掛けてロウを浸透させる
  • 底面に直角にコテを押し付ける

イメージで作業しました。

額縁仕上げスタンバイ
ソルティードッグです
額縁仕上げ
キレイにできました

じっくりとトゥスティールを取り付けます

トゥースチールを曲げたり・叩いたり・削ったりして、ぴったり収まるようにしてから、ゴムのりで接着します。

スティール貼り付け
「仕込み」で付けた印が合ってホッとしています
やはり、Made in Japan ですね!

以前に購入して使った時(たぶんドイツ製)には、ビスの穴が小さくて削って拡げないと使えませんでした。

今回のもの(日本製)は初めから正確に丁度良いサイズの穴が開いていて、ビスがピッタリ収まる状態になっていました。

どうやって作られているのか分かりませんが、職人の腕に尊敬感謝です。

ビスの穴がぴったり

ビス止めする前に、下穴を開けておきます。先の尖ったものでブスッと突けばOKです。

スティールの下穴
見て気持ち悪くなった方、申し訳ありません

気休めだと思いますが、ビスの先端に少量のゴムのりを付けておきました。

気休めのゴムのり
イライラするやつです

5本のビスは順番に少しずつ締め込んでいきます。キチンと締めても、他のビスを締めると緩むことがありますので、全部が締まり切るまで何度も増し締めするのがポイントだと思います。

締めている相手が革のため、力いっぱい締めるとネジ抜けしますのでご注意ください。
本来は「締付トルク」で表現すべきですね。

ビス止め完了
本当は「×」の向きを合わせたいのですが

コバからはみ出したスティールは、ひたすら削るしかありません。金やすりと紙やすりを使って、出っ張りが無くなるまで整形します。

やすり掛け中
金やすりで形を決めます
紙やすりまで終了
紙やすりは肌を整えるイメージ

トゥースチールを削った切粉(金属粉)は目に入ると、最悪の場合、失明する恐れがあります。保護メガネ(私の場合は老眼鏡・・・)を掛けるなどの防御策を取りつつ、こまめに切粉を掃除しながら作業されることをオススメします。

仕上げでモタモタしました・・・

  • 面が整ったコバとスティールをインクで着色
  • そこだけテカテカするので、熱ゴテをもう一回
  • 熱ゴテの作業でスティールのインクが剥がれたので、マスキングしてスティールだけ着色 ←写真はココ

いったりきたりして、まるで「花紀京」のようです。

このあたりの段取りは見直す必要あり、ですね。

スティールだけにインク
何回目かのインク

じっくり粘りましたので、まずまずの仕上がりです。が、よく見るとコバとスティールの間に「線=段差」がありますので、まだ精度不足なのでしょう。

スティール仕上がり
時間が掛かりました・・・

お待たせしました。仕上がりです!

保護のために貼っていたマスキングテープを剥がします。「ご対面」の瞬間です。

除幕式か!
ワクワクしながら剥がしています
意外に大きい靴
手垢でテカっています(笑)

最後に中敷きを貼り付けて靴ひもを通せば、修理の作業は終了です。

中敷き
新しい中底がマブシイ

自分へのご褒美として、仕上げの靴磨きを堪能しました。

チゼルトゥに続いて低く抑えられた一の甲から鋭く立ち上がる二の甲のライン、部位ごとに使い分けられている革の質感・・・上品な色気のある美しい靴だと思います。

仕上がり
チゼルトゥになっているのがお分かり頂けますか?
「205」というラストでしょうか?

「中底の交換」が今回のメインテーマでしたが、その他にも自分のできる修理をガンガン詰め込んだ一足になりました。

年末年始、家族も大掃除もそっちのけで没頭しましたので、少し(笑)休んでから次の靴に取り掛かろうと思います。

最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました!

靴底
まさにコテコテの靴底・・・

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