自分で靴修理 宮城興業のパターンオーダー靴をDIYオールソール交換 だし縫い編

ミッドソールの加工
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前の記事で分解と清掃が終わりましたので、ここからは新しい部材を取り付けて行く作業に入ります。

せっかく自分の靴を修理する機会ですので、色々と試したいことを仕込むことにしました。
というと、格好イイですが、実際にはその場の思い付きのままに作業している感じです。では、お楽しみください!

中もの

中底と本底の間にある空間は「中もの」と呼ばれる部材で埋めます。

今回は、穴が開く寸前まで本底が摩耗していますので、それに応じて中底も沈み込んだ状態になっています。
「足の形になじんだ」という言い方もできますが、オールソール交換の機会に少しだけ新品の状態に戻すイメージで修理します。履き心地やフィット感がどう変わるか?楽しみです。

中ものイメージ
縮尺がオカシイ点については、ご勘弁を・・・・

「中もの」にはコルク板を使っています。
荷造りテープに形を写し取ってコルク板に貼り付ければ、簡単にピッタリの大きさが切り出せます。

中ものの型取り
荷造りテープはダイソーで購入しています
私が練りコルクを使わないのは単純に面倒だからですが、こんな話もあるみたいです。
たしかに、コルクが砂のようにバラバラになっている靴を見ることがあります・・・・

コルク板を張り付けた状態です。
薄っすらと足の形(フットプリント)が浮き出ていますね。

フットプリント
ピッタリはまって気持ち良し

あとは、コルク板を平らに削ればOKです!

コルクを平らに
実際にはわずかに・・・・凸形状に仕上げてあります

ミッドソール

この靴はパターンオーダーする時に「ハーフミッドソール」にしてもらいました。
Uチップの名品、エドワードグリーンのDOVERというモデルにあやかった訳です(笑)

ダブルソールのしっかり感(これは履いて見ないと分からないです)と、ウェストのシュッとした雰囲気の美味しいトコ取りのデザインですね。

ドーバー
STRASBURGO ウェブサイト より引用

こんな形をしています。右側のオリジナルをもとに、左側のものを作り直しました。
再利用したかったんですが、分解する時に剥がしてしまったので諦めました・・・・

後端は貼り付けた時に段差ができないように斜めに漉いてあります。
土踏まずまで伸びた部分はオリジナルよりも幅を広げて厚みも増しておきました。モッコリさせるためですね!

ハーフミッドソールの準備
ガラスの切れが悪いので、削りカスが細かくなります。割り方が良くないのでしょうか?

貼り付けると、こんな感じになります。

貼り付けたミッドソール
ミッドソール用の革は柔らかい部位が使われてます

本底を貼る前に、外周をざっくりと切り回しておきます。

ミッドソール切り回し
斜めに漉いておいた部分、分かりますでしょうか?

本底の取付けに入る前に

これは、修理前の写真です。ウェスト部のコバが丸く削ってありますね。
オーダー時に「フマズ丸(コバ)」とお願いした意匠です。当時はよく分かってませんでしたが、これはベベルドウェストぽい雰囲気を出す工夫です。

フマズ丸
ウェスト部が華奢に見えますよね

「なので、ベベルドウェストにしてみます!」がいつもの流れなのですが、それには左の図のようにウェルト幅を切り詰める必要が出てきます。

今回は自分の靴ということもあり、ウェルト交換をせずに何回オールソールできるか?という実験の芽も残すべく、ドブ起こしのピラピラで包んでしまう「なんちゃってベベルドウェスト」(図右)を試してみることにしました。

そろそろ、縮尺のオカシイ絵にも慣れてきましたか?

さて、どうなりますでしょうか・・・

本底の貼り付け

本底材は奮発してイギリスにあるBaker社のオークバーク革にしてみました。

1862年(日本は江戸の末期)の創業!

例によって荷造りテープを使って作った型紙をもとに、革を切り出します。
ウェスト部分は切り取らず、できるだけ余分を持たせてピラピラの長さを確保します。

切り出した本底
型紙の作り方は、コチラの記事をどうぞ。

接着剤で貼り付けてハンマーで圧着したら、こくり棒でこすって表面の凸凹を消しておきます。

貼り付けた本底
こくり棒を考えた人は、間違いなく天才です

上から見ると、ウェスト部はこれだけ革が余っています。

ウェストはこんな状態
この時点で余りが足りていないことに気付くべきでした(ネタバレ)

だし縫いの準備

貼り付けた本底に、型紙の外形とドブ起こしの目安となる線を描き入れます。

ミッドソールの形を反映して、土踏まず~ウェスト周辺はメリハリのある雰囲気になってきました。

メリハリのある靴底
貼る前にドブ起こしすれば良かったかも知れません

次に、よく研いだ別たちでドブ起こし。
ガラスで付けた面取り(1ミリくらいの色が薄い部分)を目印に、刃を入れてそぐように切っていきます。

ドブ起こし
とにかく、刃物のキレが肝心です

このタイミングで、トゥースチールが収まる段差を加工しておきました。

トゥスチール
スチールのサイズが靴に合っていると、削り代が少なくなるので楽です

起こしたピラピラをめくり上げてから、残った本底をウェルトのギリギリまで切り回します。
この時点で削り込まないのは、だし縫いがやりにくくなると考えたからです。

ウェストの処理
少しずつ慎重に

ドブ起こしが終わりました!
ウェストのピラピラがダブついているのが分かりますね。

ドブ起きた
内側は余り幅が大きいので、しっかり濡らさないとめくり上げられませんでした

だし縫いの糸が収まる溝を掘ります。
前回、深く掘り過ぎて失敗しましたので溝の深さを何度も確認しながら作業しました。1.3ミリ狙いですが、それを超えないようにするイメージです。

融通の利く溝
つま先はトゥースチールのビスを避けるように、溝を掘りました。

だし縫い

久しぶりにダブルソールのだし縫いです。本底が密度の高いオークバークということもあって、かなり手強い作業でした。新品のだし針・・・を仕立て直してみようかと思ってはいるのですが・・・・

だし縫い苦戦中
突き通すのに力がいるのと、針先が出る位置をコントロールするのが難しいです

靴底側のステッチは、こくり棒の尖った方を当ててハンマーで叩いておきました。
こうすることで、溝に対して糸がほぼフラットの状態になりました。ドブを伏せた時にどうなるか?楽しみです。

縫い上がり!
次回はドブ起こしの幅を、8ミリ狙いにしてみます(今は10ミリ)

ステッチが並んでいるのを見るのは、いつも気分が上がります。
チャンの色そのままですが、これもありかな?と思い始めました。まずは染めずに進めてみます。

次は、ドブ伏せから「なんちゃってベベルドウェスト」の工程ですが、今回はここまでです。
さて、どうなりますことやら・・・・

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!

まずまずのステッチ
やっぱりUチップが好きです

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