自分で靴修理 宮城興業のパターンオーダー靴をDIYオールソール交換 分解編

ES-14 修理前
この記事は約10分で読めます。

いつもは中古靴を買ってきて修理の練習台にすることが多いのですが、この記事では自分で愛用している宮城興業のパターンオーダー「和創良靴」をオールソール交換します!

修理において考えて作業したことが、どのように履き心地の変化に現れるのか?!
すごく興味深い実験になります。

今回、修理する靴

本底は「指で押してペコペコする」タイミングで交換するのが理想的ですが、この靴はハーフミッドソールということもあり、穴が開くまで履いてしまいました・・・

穴が開く前に本底を交換すべきだと考える理由

新品と本底がすり減った状態の断面図です。

グッドイヤーウェルテッドの靴は「中ものが沈み込んで足の形になじむ」と言われますが、私が見てきた中古靴は「本底がすり減った分だけ沈み込んでいる」ものが多いです。

ですので、指で押してペコペコする程度の状態で本底を交換した方が良いと考えています。

本底の穴
指で押すと柔らかい・・・・

修理する靴は、ES-14という型番のUチップです。
靴のスペック(お値段も!)や、宮城興業のパターンオーダーの詳細については、コチラの記事をどうぞ!

ヒールと釘の取り外し

それでは、分解に入りましょう!

中敷きを丁寧に剥がして(その理由は、このあと分かります)トップリフトもメリメリっと剥がしたら、ヒールを取り外します。
目立ちにくい場所にキッカケを作ったら、大きめのマイナスドライバーを差し込んで、ネジを回す方向にドライバーをひねると、ご覧のようにヒールを少しずつ剥がすことができます。

差し込んだドライバーをテコのように動かすよりも、ひねる方が楽に剥がせます。

積み上げの取り外し
ドライバーをひねってできた隙間を追いかけるように作業します

ヒールはナンポウと呼ばれる集成材でしたので、革を積み上げて作り直すことになりそうです。
少しもったいないですが・・・

次は難関、ヒール周りの釘抜きに入ります。

このくぎひきぬきにくい
  • 靴の内側から打たれた、ヒールを止めている釘
  • 靴の内側へ打たれた、本底を止めている釘
ナンポウでした
2種類の釘がお分かりになりますでしょうか?

ヒールを止めている釘は、プライヤー等でつかんでグリグリ回すと緩くなりますので、回しながら内側へ押し込みます。あとは、内側から釘の頭を引っ張って抜きます。(中敷きを剥がしておくのはこのためです)

適当な台金があれば、釘の先端をハンマーで叩いてしまう、という手もあります。

釘の外し方
右手でグリグリしながら左手で撮影してますので、ブレまくり

本底を止めている釘は、さらに厄介です。
当然、靴の内側には突き出ていませんので、引っこ抜くしかありません。私はニッパーで何とかしていますが、スカを食った時に左手に当たりますので、保護手袋をするようにしています。

保護具着用
左手は撮影中のため、この写真はイメージです
何と言っても安全第一ですね!

靴底の取り外し

いよいよ靴の本底を剥がします。

本底には「だし縫い」が掛かっていますので、まずはその糸を切る必要があります。
方法は色々ありますが、私は本底と一緒に削り取ってしまうことが多いです。

だし縫いを切る
靴底に細かい石や砂が埋まっていると、削る刃物を傷めますので注意してください

糸が切れたら、本底をベリベリっと剥がすことができます。

本底を剥がしたところ
右側が剥がした本底です。中央付近がペラペラになるまですり減っていました

ハーフミッドソールを剥がすと、こんな感じ。
土踏まずまで伸ばしてあるのは、カマボコ状にふっくらさせるためでしょうか?
オリジナルは1ミリくらいの厚さまで漉いてありますが、ここはさらにモッコリさせるべく盛ってみようと思います。

三枚おろし
本底を剥がす手順は、この記事でご説明しています

分解後の掃除

最後に各部の掃除です。

ウェルトに残っているだし縫い・・・・の糸は、地道に取り除きます。

糸をほじくる
面倒ですが、意外に好きな作業です。チョットしたコツはこちら
もう片方はミッドソールが付いた状態で糸を取り除きました。この方が、ミッドソールを剥がしやすかったです。
糸の取り外し

ウェルトに残った接着剤も、丁寧に落としておきます。もちろん、新しい接着剤のツキを良くするためです。紙やすりで削る方法もありますが、生ゴムで擦り落とすのがウェルトのダメージが少なくてオススメです!

ウェルトの掃除
右半分が掃除後です。接着剤が落ちて、毛羽立っていますね。
私が使っているのは、スエードの汚れ落としに使う生ゴムの棒?です

分解が完了しました!
この写真を見ていて思い付いたのですが、革で包まれたシャンクの色が左右で違うのは「わざと」かも知れません。私がこれまで分解した2足とも左足が黒でした。
チョットしたことに気付いたり考えたりするのも、この趣味の楽しさの一つですね。

そんなことはさておき、次回からは組立ての工程に入ります。
ハーフミッドソールの形やウェスト部分をどうするか?に工夫をしようと考えていますので、お楽しみに!

最後までご覧下さいまして、ありがとうございました。

分解完了
番号がナゼ右足だけに書かれてる?も、謎です(笑)

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