いよいよ仕上げの工程に入りました。ここまで盛りだくさんの修理でしたが、最後も色々なことを楽しんでみました。
熱ゴテでコバにロウを浸透させます
コバの保護とツヤ出しのために、熱したコテでロウ分を溶かしてしみ込ませます。ナチュラルに仕上げるつもりで、コバにインキは塗らず無色のコバワックスを使うことにしたのですが・・・・

ロウがしっかり浸透すると、コバはインクで染めたようにダークブラウンになってしまいました。これはこれで私の好きな風合いなのですが、全体のバランス的には色が濃すぎるような気がします。ナチュラル仕上げには、少し方法を変える必要がありそうです。

ソールの仕上げ処理は「てんこもり」です
ダブルソールですので、履き降ろし後しばらくは底が硬い状態が続きます。この間に、つま先が急激にすり減ることを予防するために、トゥースチールを付けておきました。
つま先は減りませんが、蹴り出す時に滑るので、「ソールの馴染み待ち」に変わりはないです・・・


ソールの地面に触れる部分も仕上げます。いつもは♯240までの紙やすりを♯600まで掛けてみました。

このタイミングでコテを使って「額縁仕上げ」にしました。ドブ起こしの線とのバランスまで工夫すると、さらに見栄えがよくなりそうです。

コバのナチュラル仕上げに失敗しましたので(笑)底面でリベンジです。無色のソールステインは持っていませんので、トコノールというレザークラフトで有名な仕上剤を使ってみました。
手製靴の世界では底面の仕上げには「ふのり」を使うそうです。トコノールの成分は「天然糊・天然ワックス・合成樹脂」なので、代用できるかと思って購入したものです。
半乾きの状態で古Tシャツで磨き込んで仕上げました。下地を♯600までやすり掛けした割には、ツヤは弱いように感じました。説明書には「ガラス板などで磨く」とありますので、布では持ち味が発揮されないのかも知れません。

仕上げ磨きをして完成です
かかとのライニングが傷んでいましたので、いつものように補修しておきました。

エージングの進んだ栃木レザーでしたので、アッパーの仕上げはナチュラルメイクをイメージしてみました。
ナチュラルと言えば、お約束のタピールです。全体をレーダーオイルで磨いて汚れ落としと油分補給した後、つま先だけレーダーフレーゲで艶出ししておきました。

今回も無謀なチャレンジでしたが、何とか完成させることができました。毎回のことですが、実際に自分でやってみると色々な気付きがあり、次回への改善点がたくさん出てきます。ノルウェージャンウェルトの改造は似合う靴を選びますので、普段から物色しておいて、チャンスがあれば、また挑戦してみたいと思っています。
今回も、長い間お付き合い下さいまして、ありがとうございました。

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