スコッチグレイン F-1164 自分で靴修理3「ノルウェージャンウェルトに挑戦」ミッドソールの取り付けとだし縫い

ミッドソールのだし縫い完了
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今回の修理では、いわゆるダブルソールに仕上げます。丈夫で硬い本底とアッパーの間に柔らかいミッドソールを設け、それぞれに「だし縫い」を掛けますので、ウェルトにはすくい縫いと合わせて3本のステッチが走ることになります。まずは、ミッドソールの作業です。

ダブルソールの靴は底が厚いので、「返りが付く」のに時間は掛かりますが、馴染んだ後の履き心地は安心感や、しっかりとした印象があるように思います。

ミッドソールを貼り付けます

ミッドソールを使うのは初めてです。本底は「ベンズ」という腰回りの硬い革ですが、このミッドソールは「ショルダー(肩)」で、繊維が粗く柔らかい革質です。

表面を荒らしておいて、接着する部位にゴムのりを塗って乾かしてあります。写真では見えませんが裏側を水で濡らして革を柔らかくしておきました。

革の解説は、こちらのサイトがオススメです
ミッドソールの貼り付け直前
木ヤスリで荒らすと、毛羽立ちます

貼り付けてみました。前の記事でご紹介した通り、特につま先とかかとはウェルトの取り付けに少し無理がありましたので、例によって(笑)ウェルトを濡らして柔らかくしながら強引に貼り付けました。

ミッドソールの貼り付け完了
それでも、つま先は少し浮いていますね

だし縫いの前に、コバをざっと切り回しました。本来ならばコバの出っ張り具合をここで決めてしまうべきなのですが、本底が付くと印象が変わる可能性がありますので、8割くらいのイメージまでに留めておきました。

これだけでも靴らしくなりますね

だし縫いを掛けます

ミッドソールの銀面をガラス片で削り落としたら、いよいよ縫っていきます。試しの縫い穴を一つ開けてみて、それを基準に目安の線を引いておきました。コバの外周にコンパスの針の胴を当てて、ぐるっと一周するとキレイに線が引けます。

先に線を引かないのがチョットした工夫です

すくい縫いの糸にピッタリ近づけて、同じ質感のステッチを並べたいので、だし縫いの穴を開ける時に、注意点が2つあると考えました。

  • すくい縫いの糸を傷付けないこと
  • ステッチの線に並行な長細い穴が開くこと

ですので、縫い穴は「だし針」ではなく「すくい針」で開けました。

写真のように、すくい縫いと同じピッチで半分ずらして縫うと、美しい模様が現れます。テンション上がりまくりです。

この辺りはキレイにできました

縫い針も普段使っているテグスではなく、すくい縫いに使う金針にしました。縫い糸もすくい縫いと同じ8本撚りですので、全てすくい縫いと同じ道具を使ってだし縫いを掛けていることになります。

針の上下関係を一定にするのがポイントです

底側にはチャネル(溝)は掘らずに、そのまま縫い付けました。ある程度は柔らかいミッドソールにめり込むのと、地面に接して切れる心配がないからです。

ステッチが揃って見えるのは、ピッチが粗いからです。求められる精度は縫いのピッチに反比例すると考えています。

50才が一息に縫えるのはこれくらいです・・・

次回は、こんな工夫をしてみようと思います

まずは無事に縫い上げることができて良かったのですが、見た目で改善すべき点があると思いました。

全体的に1列目のステッチよりも2列目の方が迫力があるように見えるのです。思いつくままに要因を挙げますと・・・

  1. すくい縫いでは糸を強く引くので、ウェルトに食い込んで外から見えにくくなる
  2. すくい糸は強く引くため手汗が出てしまい汚れる(笑)
  3. 撚り合わせて糸を作る時に、撚りの強さによって仕上がりの糸の太さが変わっている

1番は仕方がありませんが、2番・3番は改善の余地がありますね。3列目を縫うと印象が変わるかも知れませんが、すくい糸だけ撚りの本数を増やすのも良いのではないかと思っています。

すくい縫いの糸が黒ずんでいますね

硬い本底が加わり、また、底側の糸を狙った位置に正確に出す必要がありますので、次の本底だし縫いは難易度が上がると思います。作業の前に段取りをよく考えてから仕掛からないといけませんね。

最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。

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