スコッチグレインの革靴を自分でオールソール交換修理するシリーズ記事の第2弾。
今回は新しい本革のソールを取り付ける工程をご紹介します。ベヴェルドウェストに仕上げるための色々な下準備をしてから、接着→縫い付けと作業が進みます。
底材の接着では、ずっと気になっていた方法にも挑戦してみました。
ウェルトの下加工
ベヴェルドウェストの準備として、ウエスト部分のウェルト幅を調整します。
今回はだし縫いの穴がちょうど良い位置に並んでいましたので、それを基準にしました。

幅を狭くしたウェルトは、さらに斜めに切り落としておきます。
このあと、本底を巻き上げた時にスマートに仕上げるためですね。

本底の接着
貼り付ける前の本底に加工を入れたいので、こんな方法で型紙を取ります。
出来上がりは、こんな感じです。
ウェスト部分は4ミリの厚さまで漉いてあります。靴底の表情にメリハリを出したいからですね。

さて、次は本底を接着する訳ですが、本底材の濡らし方で以前から気になっていた作業方法を試してみます。
それは、「本底材を水没して完全に水を吸わせる」という方法です。
これまで、接着剤をどうするのか分からず、トライして来なかったのですが・・・・
「聞くは一時の恥」ということで、イケメン先生に直接教えて頂きました!

ということで、接着剤を塗った本底をバケツの水にドボン。
→ビックリするくらい泡が出ました。革って繊維が隙間なく詰まってると想像していましたが、ミクロで見ると相当な空洞を抱えているんですね~

「一晩漬ける」のは待ち切れず、1~2時間で泡がほとんど出なくなったところで引き上げました。
接着剤を塗った面は、新聞紙を使って水分を取り除いてみます。

その後、教わった通りにウェルトと接着する部分だけ、接着剤を塗り直します。
心配をよそに、普通に塗ることができました。

貼り付けたところです。
たしかに革が柔らかくなって作業しやすいですが、いつものように表面から濡らすだけで十分だということが分かりました。
手製靴のように靴底(木型)の起伏が激しくて複雑な場合は、革がフニャフニャでないと追従しないんでしょうね。

だし縫いの準備
接着した本底はウェルトに縫い付けます。いわゆる「だし縫い」です。
本底を加工して「フタ」を作り、ステッチに被せて見えないようにする「ヒドゥンチャンネル」仕上げにします。
革をスパッと切ってしまわないように。毎回なぜか汗の出る作業です。

起こした革の内側に、ステッチが収まる溝を掘ります。
深すぎても浅すぎても、この後でうまく仕上がらないので、私はノギスで深さをチェックするようにしています。

だし縫い用の糸は、6本撚りの麻糸を使って、こんな手順で作ります。
チャンを入れることで糸が丈夫になり、縫う時に接着剤のような働きをして緩まなくなります。
- 糸にチャンを塗り付ける
- 古いタオルで勢いよく糸を擦って、摩擦熱で溶けたチャンを糸に吸わせつつ、表面の余分を拭き取る
- 縫う時にベタベタしないように、全体に軽くロウを塗っておく

だし縫い
最後にアッパーに保護用のマスキングテープを貼ったら、やっと本底を縫う工程です。
好きな音楽を聴きつつ、一針ずつ縫い進める至福の時間・・・

ウェスト部はステッチが隠れることもあり、一目飛ばしで粗く縫い付けます。
この幅を縫えてしまえるところが、革という素材の素晴らしさですね。

縫い上がりは、こんな感じ。
これを見ると、縫い作業の疲れが吹き飛びます。私が靴修理の趣味をやめられない理由の一つですね(笑)
この後はベヴェルドウェストを仕上げてから、ヒールの積み上げへと進みます。
さすがに疲れましたので、それらの作業は次回に・・・
最後までご覧くださいまして、ありがとうございます!!

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