自分で靴修理 三陽山長をDIYオールソール交換 仕上げ編

靴底もピカピカに
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2月に続いて4月もブログの投稿をしていないことに気付き、時の流れの速さに驚いている ですも です。4月もコツコツと作業は続けていましたので、まとめて一気に記事にしてしまいます。

前回、かかとの積み上げまで進んでいましたので、その続きから完成までをどうぞ!!写真ばっかりです(笑)

空ゴテ

やすりで磨いたコバ面を、さらにコテを使って仕上げて行く工程です。

まず、ウェルトの角に面取りを入れます。
「つき面取り」という専用の工具がありますが、私は別たちでやってしまいます。できるだけ真っ直ぐに切れるように、マスキングテープで基準線をマークしてから慎重に切り進めます。

面取り
刃はよく切れる状態にしておきましょう

面取りが付くと、こんな感じになります。微妙にうねってますね・・・・まだまだ修行が必要です

面取りの仕上がり
とにかく、つま先の作業が難しいです

コバを水で濡らしてから、ずぼらゴテの爪で面取りを潰すようにしてエッジを出しつつ、コバ面も押さえつけて滑らかに仕上げます。

空ごて
ずぼらゴテの形状に興味のある方は、こちらの記事をどうぞ

コテを掛け終わると、こんな感じになります。コバの上端がピシッとしてますね。

コバのエッジ
まだ、コテの爪の形に改善が必要です・・・

かかとの積み上げも同じように、軽くコテを掛けて目を潰しておきます。

ヒールも空ごて
ここでは、「イチョウ」と呼ばれる銀杏の葉の形をしたコテを使います

染色と熱ゴテ

ここまでで「形」は仕上がりましたので、染色+保護の作業に移ります。

染料が入りやすくするために、本底の革のギン面をガラス板を使って剥がしておきます。
軽く水で濡らしてから作業すると、滑らかに仕上げやすいです。

ソールのギン掻き
ど真ん中に、怪我の跡?がありますね・・・・

土踏まずを黒く仕上げる「半カラス」にするため、左右の足が対称になるように注意しながら、現物合わせでマスキングを作ります。

半カラスのマスキング
左右の靴を合わせてコバの印をつけてから、マスキングの線を手描きしました

マスキングができたら、早染めインキで黒くする部分を染めます。
厚塗りするとムラになりますので「少し薄いかな」と思っても、あまり塗り重ねない方が良いですね。この後、ロウを入れると色が濃くなります。

早染めインキ入れ
半カラスはウエストが締まって見えるので、好きです
速乾性の革用染料は、コバ染めに便利ですよ。

溶かしたロウを塗り付けておいて、熱したコテでロウを革に浸透させます。熱ゴテと呼ばれる作業です。
空ゴテで整形したコバが、さらにビシッとした形状になっていきます。

コバの熱ゴテ
コテの温度は、水滴を付けた時に「ジュー」っとなる具合を見て調整します

土踏まずも同様の作業をします。
ただし、コバ(革の断面)よりもロウの吸い込みが悪いので、コテを掛ける前のロウを塗り過ぎないように注意が必要です。この後の拭き取りが大変になります・・・・

半カラスの熱ゴテ
インキだけの時より、色が濃くなってますね

周囲の部分にもコテを掛けて「額縁仕上げ」にします。
私は単純に見た目がクッキリする感じが好きで、この一手間を掛けていますが、次のような効果があると考えています。

  • 見た目が良くなる
  • 角の部分の保護・強化
  • はみ出たインキのごまかし・・・・
額縁仕上げ
ここで付けておくロウは、ほんの少しで大丈夫です

熱ゴテを掛け終わったら、布で表面に残ったロウを拭き取りつつ磨き上げます。
「手間を掛けただけのキレイな光沢が出る」と感じていますが、どうでしょう?

自分の靴も同じ仕上げ方をしてますが、ロウが浸透させてありますので、ブラッシングするだけでツヤが復活します。コバインキで表面を仕上げたものとは違う印象です。

熱ゴテ終わり
黒のロウを使っていますが、少し青色が混ぜてあるようです

残った部分を、ソールステインで仕上げました。これで、一連の工程は終わりです。

ソールステイン仕上げ
額縁仕上げの魅力が伝わりますでしょうか?・・・

その他の作業

ヒールの上部には、手製の道具を使ってギザ模様をつけています。
この模様を付ける理由はよく分からないのですが、私はコレが無いと間延びしたように感じます。

ヒールのギザ模様
ご覧の通りですが、この道具の作り方はコチラの記事をどうぞ!

いよいよ、色々な作業からアッパーを保護するために貼ってあったマスキングテープを剥がします。

このテープは貼り付ける前に、布に貼って剥がすことで粘着力を落としてあります。
ですが、革の油分を奪っていたりして、剥がす時にアッパーのギン面にダメージを与えるかも?と心配になりましたので、剥がす直前に油を塗ってみました。

靴にほこりが付いたままにしておくと良くないのも、革の油分がほこりに奪われるから、という話を読んだことがあります。ブラッシングが手入れの基本と言われるのは、そういう理由もあるのでしょうね。

マスキングテープに油分
今回は、マスキングテープを貼っていた期間が長かったのが、心配になったキッカケです
天然素材100%の定番ですね

無事にキレイに剥がすことができました!!

マスキングテープを剥がした後
いよいよ修理も終盤という感じになります

最後に、修理のために外してあった中敷きを戻します。

スポンジは新品に交換して、中敷きの前端には強力な両面テープを貼っておきます。
写真の左側の状態にしてから、取り付けの作業に移ります。

中敷きの準備
スポンジは接着剤で貼り付けます

中敷きの取付は、こんな手順でやっています。
こうすることで、簡単に正確な位置へ貼り付けることができますよ。

  1. 接着面のうち、スポンジ側だけに接着剤(ゴムのり)を塗っておく
  2. 中敷きの位置を決めてから、両面テープのはくり・・・紙を剥がして前端部を接着する
  3. 塗り残した接着面(中底側)に接着剤を塗って、スポンジの面と接着する
中敷きの貼り方
手前側が、手順3に入ったところです

仕上げの靴磨き

仕上げの靴磨きの前に、作業で付いた汚れなどを落とします。

水分と油分を補うのに、私はダイソーのベビーローションを使っています。気休めかも知れませんが・・・手で擦り込むようにして、たっぷりと吸わせておきます。

ベビーローション
1本買えば、かなり長持ちします^^

乳化性クリームは、ビーズリッチクリームを愛用しています。
伸びが良く、革によく浸透し、深い黒色に仕上がります。独特の甘い香りも魅力ですね。

靴磨き
一気に見栄えが良くなります(ツヤは七難隠す・・・です)

靴底には薄くワックスを塗って、柔らかい布で磨いておきました。

全体の凹凸のメリハリは、思っていた雰囲気が出せました。
が、今回はだし縫いの溝が深すぎたので、表面にその形が浮き出てしまいました。浅くても深くてもキレイに仕上がらない、簡単なようで難しい作業だということを改めて思い知らされました。

靴底もピカピカに
溝の深さはノギスで測っているのですが・・・

つま先をワックスで磨いて新しい靴紐を通せば、修理は完了です!

コバや底面の全体的な形状は、思い描いたものに近づけることができました。
一方で、ウェルトの角の形や、先ほどのだし縫いの溝など、細かな部分にアラが出てしまいました。

毎回、違う靴を違う材料で修理していることもありますが、なかなか一直線には理想に近づけないと感じます。ですが、工夫したり手間をかけた結果が、必ず仕上がりに現れるところが、この趣味の魅力です。これからも「あ~でもない、こ~でもない」とマイペースで楽しみたいと思います。

最後は、独り言みたいになってしまいましたが、ここまで読んで下さいまして、本当にありがとうございます!!

できあがり
ハイシャインのグラデーションが、今回は少しうまくできました

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