【趣味の靴修理人が解説】自分で革靴を丸洗いする5ステップ|お手頃にリフレッシュ

丸洗い
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私はオールソール交換する時には、ほぼ必ず靴を丸洗いします。ソールが外れた状態だと乾きが速い、というのが最大の理由です。丸洗いのメリットには、次のようなものがあると考えています。

  • 靴の内部や革にしみ込んだ汚れを落とすことができる
  • 銀浮きを治すことができる
  • 深すぎる履きジワや型崩れを、ある程度矯正することができる
  • ペットを洗うようで楽しい(笑)

この記事では、私が実際に作業する様子をご紹介します。ソールが外れていない靴でも、基本的にこの手順で丸洗いすることができますので、ぜひご参考になさって下さい。

洗浄は2ステップです

1.ぬるま湯にドブ漬けにします

バケツに張った40℃くらいのお湯に、靴を投入して放置します。完全にお湯が浸透して、プクプクと気泡が浮かんでこなくなるのが目安です。その頃には、お湯が茶色に濁り、得体の知れない汚れゴミが浮かんできます。こんなものを履いていたのか!

中底(靴の内側)やウェルト周りを中心に、たわしで優しく擦っておきます。

だしが出てます・・・
実物は写真より濃厚(汚い)です

2.サドルソープの泡で洗います

たわし洗いの次は、サドルソープをスポンジで泡立てて、靴全体を包むように優しく洗います。ここでも、見る見るうちに泡が汚れてきて、靴がキレイになっている(ような)気分を楽しめます。

気が済むまで洗ったら、泡と汚れをざっとお湯で流して、洗浄作業は終わりです。

サドルソープの匂いが好きです

上の写真は20年くらい前に買ったKIWIのサドルソープですが、もう絶版みたいですね。その後、M.モゥブレィのものを使っています。リーズナブルでオススメです。

じっくり乾かす過程には、3つのフェーズがあります

この記事でご紹介しているのは、6月中旬の雨が降っていなくて、涼しい感じのする時期に乾かした事例です。

1.びしょびしょ期

水がしたたる状態の間は、ざっくり形を整えてから靴の中に何も入れずに自然乾燥させます。夜から朝まで「一夜干し」くらいで良いと思います。

一夜干しが終わり
かかとの下に垂れた水の染みが見えます

2.じっとり期

靴全体が「じっとり」した感じになったら、靴の中に新聞紙を詰めて積極的に水分を抜いていきます。この時は、朝に詰めた新聞紙を、昼と夕に交換しました。

新聞紙を詰めた後で、アッパー・中底・ウェルトなどの形を手で整えておくのがポイントです。こうすることにより、乾いていく過程で、革がその形を覚えていきます。

新聞紙をこまめに交換

アッパーやウェルトの革が乾き切る前に油分を補給しておきます。個体差はありますが、ベタ付かない範囲で「たっぷり」与えれば良いと思います。

この作業は、夕方に新聞紙を交換した後で行いました。そのまま一晩放置しましたので、「じっとり期」は一日ということになります。

オイルがガンガン入る

デリケートクリームでも大丈夫ですが、しっかりと油分を入れる意味では、このようなオイル系のものが良いと思います。

3.しっとり期

翌朝になると、濡れた感じはなくなり、特に靴の外側は「何かしっとりし過ぎてる・・・」程度の水気になりました。

ここで、靴の形をさらに整えるために、木製のシューキーパーを入れて靴全体をシャンとさせます。もちろん、形状を直したい箇所は積極的に手で整えます。

途中でシューキーパーを取り出して中の湿気を逃がしたり、様子を見て油分を補給しながら、さらに一日ほど乾燥させれば完了です。

シューツリーで形を整えます
まだワックスが落ちました・・・・

ジャケットをハンガーに掛けるように、普段から靴を脱いだら木製のシューキーパーを入れておくことで、湿気を調節し型崩れを防いで長持ちさせることができます。

お値段はピンキリですが「入れるか入れないか」の差が一番大きいと思います。

風呂上りみたいに仕上がります

今回は2足同時に丸洗いしました。乾いていく具合が微妙に異なりますが、どちらもスッピンになり、変なクセも取ることができました。

次は組み立てていく工程に進みますが、アッパーの型崩れやウェルトの硬化などを修正してありますので、作業の精度を上げられると思います。

すっぴんです
風呂上り兄弟

私自身はトラブルに逢ったことはありませんが、素材や靴の構造によっては、変形・脱色・革の硬化・型崩れなどを起こす可能性はあります。「いきなり一張羅を丸洗い」はお勧めしません。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。

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