私はオールソール交換する時には、ほぼ必ず靴を丸洗いします。ソールが外れた状態だと乾きが速い、というのが最大の理由です。丸洗いのメリットには、次のようなものがあると考えています。
- 靴の内部や革にしみ込んだ汚れを落とすことができる
- 銀浮きを治すことができる
- 深すぎる履きジワや型崩れを、ある程度矯正することができる
- ペットを洗うようで楽しい(笑)
この記事では、私が実際に作業する様子をご紹介します。ソールが外れていない靴でも、基本的にこの手順で丸洗いすることができますので、ぜひご参考になさって下さい。
洗浄は2ステップです
1.ぬるま湯にドブ漬けにします
バケツに張った40℃くらいのお湯に、靴を投入して放置します。完全にお湯が浸透して、プクプクと気泡が浮かんでこなくなるのが目安です。その頃には、お湯が茶色に濁り、得体の知れない汚れやゴミが浮かんできます。こんなものを履いていたのか!
中底(靴の内側)やウェルト周りを中心に、たわしで優しく擦っておきます。


2.サドルソープの泡で洗います
たわし洗いの次は、サドルソープをスポンジで泡立てて、靴全体を包むように優しく洗います。ここでも、見る見るうちに泡が汚れてきて、靴がキレイになっている(ような)気分を楽しめます。
気が済むまで洗ったら、泡と汚れをざっとお湯で流して、洗浄作業は終わりです。

じっくり乾かす過程には、3つのフェーズがあります
1.びしょびしょ期
水が滴る状態の間は、ざっくり形を整えてから靴の中に何も入れずに自然乾燥させます。夜から朝まで「一夜干し」くらいで良いと思います。

2.じっとり期
靴全体が「じっとり」した感じになったら、靴の中に新聞紙を詰めて積極的に水分を抜いていきます。この時は、朝に詰めた新聞紙を、昼と夕に交換しました。
新聞紙を詰めた後で、アッパー・中底・ウェルトなどの形を手で整えておくのがポイントです。こうすることにより、乾いていく過程で、革がその形を覚えていきます。

アッパーやウェルトの革が乾き切る前に油分を補給しておきます。個体差はありますが、ベタ付かない範囲で「たっぷり」与えれば良いと思います。
この作業は、夕方に新聞紙を交換した後で行いました。そのまま一晩放置しましたので、「じっとり期」は一日ということになります。

3.しっとり期
翌朝になると、濡れた感じはなくなり、特に靴の外側は「何かしっとりし過ぎてる・・・」程度の水気になりました。
ここで、靴の形をさらに整えるために、木製のシューキーパーを入れて靴全体をシャンとさせます。もちろん、形状を直したい箇所は積極的に手で整えます。
途中でシューキーパーを取り出して中の湿気を逃がしたり、様子を見て油分を補給しながら、さらに一日ほど乾燥させれば完了です。

風呂上りみたいに仕上がります
今回は2足同時に丸洗いしました。乾いていく具合が微妙に異なりますが、どちらもスッピンになり、変なクセも取ることができました。
次は組み立てていく工程に進みますが、アッパーの型崩れやウェルトの硬化などを修正してありますので、作業の精度を上げられると思います。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございます。
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