ボロボロのジョンロブを自分でオールソール修理してみた!まずは分解!!

憧れのジョンロブ
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ジョンロブのWIDNERというブラインドブローグを修理する機会に恵まれました。

かなりの傷み具合で、オーバーホール的な作業になりそうです。

今回は、いつも楽しい分解工程です。はたして初めて見る超高級靴の中身は?!意外な発見もあった分解編をお楽しみください。

今回の教材はコチラ

続けていると、こんな靴にもめぐり合えるのですね。

「JOHN LOBB PARIS」というロゴを見ただけでも、

  • どんな人が作ったのだろう
    :工場はノーザンプトンにあるのね
  • どんな店で売っていたのだろう
    :「フランソワ1番通り」って、ググってしもたわ
  • どんな履きごこちなのだろう
    :「8695」っていう有名なラストみたい

と、妄想が頭の中を駆けめぐります。

中敷き
珍しい全敷きです

「WIDNER」という、いまは作られていないモデルです。

かなり傷みが激しいですが、コツコツと直していきましょう!

WIDNER
手書きの文字がオシャレ

ヒールを分解します

トップリフトはミスターミニットのものが付いていました。

トップリフト
積み上げに化粧釘の跡が残ってますね

ヒールの積み上げはオリジナルのままでした。

本革ですので残しておいて再利用します。

積み上げ
すごい数の釘ですね

本底を剥がします

私が見た中では最もピッチの細かい「だし縫い」の糸を切って、本底を剥がしました。

  • 本底がかかと部分で継ぎ足されて?います
  • シャンクは竹なので再利用
  • ウェルトがちぎれました・・・
継ぎ足した本底
修理歴はないように見えるのですが・・・

かかとに残った本底は再利用しようかと思いましたが、中を見てみたいので取り外しました。

その後で、コルクとシャンクも外して掃除しておきます。

釘抜き
この釘、引き抜きにくい・・・

ウェルトも外します

ウェルトは一部がちぎれましたので、すべて交換することにしました。

ウェルトと靴本体を縫い付けている「すくい糸」は、ミシンで縫ってありますので切らなくても「ほどく」ことができます。

次の機会に手順が分かるような写真を撮ろうと思います。分かってしまえば簡単でした。

すくい糸をほどく
以前は、一目ずつ糸を切っていました

ウェルト側(外側)の糸がほどけたら、内側の糸を引っ張ると外れます。

独特の音と感触がチョット気持ちよい作業です。

引くとほどける
ぷるぅ」と取れます

ウェルトが全て外れました。

中底とアッパーは、ホッチキスのような金具で止めてありますので、バラバラになることはありません。

グッドイヤーウェルト製法ですので、正確には「中底リブテープ・・・・・とアッパー」が固定されています。

ウェルトの取り外し完了
ウェルトは柔軟性を失いつつありました

外したウェルトを観察してみます。

コバの張り出しを抑えたエレガントな造りのためか、「だし縫い」が「すくい縫い」に重なっている部分がありました。

ウェルトの手入れをしていれば柔軟性を保てるのですが、もともと無理のかかる構造ではありますね。

攻めただし縫い
汚い手ですね

ウェルトは「すくい縫い」で靴本体に固定されていて、そこに「だし縫い」で本底が縫い付けられています。

グッドイヤーウェルト製法の断面

洗ってリセットします

汚れが蓄積していそうですので、丸洗いをすることにしました。

その前に、たまった靴クリームやワックスをクリーナーで落としておきます。

クレンジング中
キズ隠しのためか、古いクリームがこってり

ぬるま湯に浸けておくことで、汚れを溶かし出しつつ浮かせてから、サドルソープで洗います。

丸洗い
泡が真っ黒になります・・・
洗い上がりは「しっとり」です

洗い上がったら、陰干しで「ざっくり」乾かします。

陰干し
気温が高いので、乾きが早いです

「じっとり」くらいの状態になったら、内部に新聞紙を突っ込んでさらに乾燥させます。このときに、型崩れの矯正もするようにしています。

この靴は中底の沈み込みが激しかったので、ウレタン製のギブス(笑)を掛けて乾かすことにより、平らな状態に戻す訳です。アッパーの形状も手で整えてありますので、丸洗い前に比べると本来の「シュッ」とした形になっています。

ギブス
油分補給も忘れずに!

全体的にスッピンになり、リフレッシュできたと思います。この後は、久しぶりの「すくい縫い」なので楽しみです。

最後までご覧下さいまして、ありがとうございました。

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