ヤンコ YANKO パンチドキャップトゥ DIYオールソール修理4 だし縫い編
「このために靴修理をやっている」と言っても過言ではありません。だし縫いです。
ドブ起こし
ドブ起こしをする範囲の目安として、コバから1cmの位置に銀ペンで線を引きます。

革を水で濡らして切りやすくします。目的からすれば起こす部分だけを濡らせばよいのですが、何となくムラになるような気がして全体が均一な色になるように水を付けています。

ガラス片で面取りを付けて、刃を入れる位置の目印にします。

別たちの刃を新しいものに替えて、ドブを起こしていきます。いまだにコツはよく分かりませんが、よく切れる刃物を準備して、できるだけ軽い力で作業するのが大事なような気がします。

つま先はトゥスチールを取り付けるために削り込みました。「気持ち深め」にしてあります。

少し寒さが和らいだのとは関係なく、毎回ヘンな汗をかきますが何とかドブ起こし完了です。

だし縫い
だし縫いの糸が収まる溝(チャネルですね)を掘ります。以前はグルーバーの穴が詰まって作業が滞ることが多かったのですが、最近はスイスイと掘れるようになりました。グルーバーを当てる角度と力加減がポイント・・・要するに慣れです!

だし縫いの下ごしらえが完了です。
この作業をしていたのは金曜日の夜ですので、週末の楽しみに、だし縫い糸と針の準備までして終わることにしました。
えぇ、そのハズでした・・・

目の前にだし縫いの準備ができているのに、何もせずに終わることはできません。結局、片足を縫い上げてしまうことに。
疲れと眠気の中、ドーパミンの快楽に溺れた約2時間でした。


残る片足は別の日。
ナイロン針に取り付ける部分の糸の巻き付けを小さめにしてみました。やはり引っ掛かり感が減って縫いやすいですが、縫い上がった時点では片方の糸が切れそうになっていました。
数値化しにくいところですが、感覚だけに頼るのも危ないですね・・・


ドブ伏せ
だし針を刺す時に力が掛かりますので、だし縫いが終わると、本底貼り付け時に整えたコバの形状が歪んでいます。
いつもは気にせずドブ伏せに進んでいましたが、今回はこくり棒を「ギュー」と押し付けて形を戻してみました。

ドブ伏せで接着する部分を#60の紙やすりでガシガシと荒らします。だし縫いの糸はできるだけ削らないように注意します。

ゴムのりはフレッシュな(サラサラな)ものを薄くムラなく塗ります。

本底の底面を水で濡らして柔らかくしておいて、ドブ起こしで付いたシワを伸ばすように貼り付けていきます。
指で貼り付けてからシワを取る方法も見たことがありますが、私は「心の師匠」のやり方を真似しています。

最後にこくり棒で擦って靴底を滑らかに仕上げます。
私の理解ではありますが、この作業は「本底を貼り付けた時の形状に戻す」ものです。つまり、本底の貼り付け工程の良否が、仕上がりの形状を決めているということになります。職人の方が言われる「一つ一つの作業の積み重ね」とは、こういうことなのだろうと思います。
と、説教臭くなったところで今回はおしまいです。この後はヒールの積み上げに移ります。恒例の地味会ですが、お付き合い頂けますと嬉しいです。
最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。

コメント