グッドイヤーウェルトのだし縫い(趣味ですので、もちろん手縫いです)をしている時に、「なんかステッチがヨレルなぁ」と感じていませんか?
実は、私もずっと「どこかオカシイ・・・」と思いながら作業していましたが、あることに気づいてからは、ふっくらとしたステッチが綺麗に揃う(作業ミスは除く 汗)ようになりました。
この記事では、靴修理に特有のステッチの整え方を説明してから、具体的な作業をどうすればよいか?(大したことではないです)をご紹介します。
これを読んで、だし縫いの楽しさを味わって頂ければ、と思います。
はじめに
まずは、この写真をご覧ください。
左足(向かって右)はステッチが綺麗に並んでいるのに対して、右足は所々が不揃いになっているのがお分かり頂けると思います。
先に作業した右足がイマイチなので、左足を縫うときに、ふと「あること」を試してみたからです。

靴修理でだし縫いのステッチが整う条件とは?
だし縫いにおいて靴修理に特有のこと
ウェルトを交換する場合を除いて、靴修理ではウェルトを再利用することになります。つまり、既にある縫い穴を拾って縫っていく訳です。この「既にある縫い穴」の形がポイントです。
この写真は、いま私が修理している靴の縫い穴です。真ん丸ではなく、楕円で傾いていることが分かります。
おそらく、製造に使われるミシンの関係でこうなるのだと思われますが、触ったことがないので、理由は不明です。

それを踏まえて、糸がどうなれば良いか?
手縫いの場合、だし縫いは二本の糸(実際には繋がっていますが)を交差しながら縫っていきます。この交差のさせ方には、次の図のような二通りがあります。

これらは、ウェルトを上から見た図で、分かりやすいように二本の糸を色分けしてあります。図の上から下へ向けて縫い進めていて、一番下の目は糸を通した直後をイメージしています。これだけを見ると、どちらでも良いように思われますが、糸を引き締める(それぞれを「ぐっ」と引く)と・・・

穴が傾いているため、糸は矢印の方向へ動こうとします。
[A]は糸が穴の両端に当たって止まります。ですので、おおよそ一定の力で引いていれば、糸の収まる位置は安定します。
一方、[B]は糸が互いに押し合う形になります。この場合、糸の位置が引き加減に左右されやすくなり、冒頭の「ステッチがヨレた」仕上がりに繋がるという訳です。
具体的な作業手順
私はこんな感じで作業しています。
右手(ウェルト側)の毛針を針の長さの中央くらいまで通します。

右手の毛針を上に引っ張っておき、その下側に左手(底側)の毛針を通します。
この糸の上下関係がポイントです

右から通した毛針を左手に持ち替え、左から通した毛針を右手で糸の途中(右手が伸び切るところまで)まで引いておきます。

縫い穴に残っている右から通した毛針を、左手が伸び切るところまで左へ引きます。
糸の上下関係や引っ掛かりに問題が無いことを確認してから、両方の糸を止まるところまで引き切ります。次の手順で調整するので、力は込めなくても大丈夫です。
引き切ってしまうと、糸の上下関係を修正するのが難しくなりますので、必ず引く前に確認します。

糸の引き締め具合を調整します。まずは右手(ウェルト側)を強めに引きます。
回数が多いこともあり、この動作で指が痛くなります。我慢できない時には、指ぬきを着用されると良いと思います。

最後に、右手に持った糸を動かない程度に保持しつつ、左手の糸を「クッ」と引きます。右手を離してしまうと、左手を引いた時に靴底の溝に収めた糸が緩むことがあるためです。

これを繰り返せば・・・

まとめ
だし縫いのステッチを揃えるため、私なりに考えて実践していることをご紹介しました。
ステッチが綺麗に並んでいると、縫い上がりの達成感が倍増します。かつての私と同じ悩みをお持ちの方は、ぜひ試してみて下さいね。
最後まで、ご覧頂きまして、ありがとうございました。
【追記】老眼(気味)の方へ:元穴を確実にひろう工夫
以上でご紹介した内容は、既にある縫い穴にだし縫いを掛けることを大前提にしています。ところが、縫い穴がよく見えなくて、だし針をヘンな所に刺してしまう失敗をすることがあります。
これは実際に私が「やらかした」時の写真です。
”転んでもただは起きぬ”の精神で編み出したカイゼンは、だし縫いのラインに銀ペンを入れる!です。ご覧の通り、縫い穴が見やすくなります。
今さら・・・ですが、同じ悩みを抱える中高年の方のご参考になりましたら幸いです。

銀ペンは替芯のまま使われているのを良く見ます。

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