革靴の修理と言えば、トップリフトや本底の交換を思い浮かべますが、アッパーのほつれや、かかとのライニングを補修したくなることが、意外に多いです。専用のミシンがあれば良いのですが、趣味ではそこまで準備するのは難しいところです。
そんな時、手縫いができれば、補修できる範囲がグッと広がります。この記事では、簡単な道具を使って、ミシンと同じような縫い方ができる方法をご紹介します。
コレを覚えると、こんな修理に使えます
準備するもの
縫い針
皮革用のミシン針が使いやすいです。針先がナイフのようになっているらしく(老眼で見えません・・・)軽い力で刺すことができます。私は、このセットの#11針を使っています。
糸
こちらも皮革用のミシン糸です。黒と茶を揃えておくと良いと思います。
針用のハンドル
良い針さえあれば、ハンドルはなんでも良いです。こちらの記事も、ご参考にどうぞ。
私がやっている手縫いの方法
分かりやすいように、革の端切れを縫う様子をご説明します。ここでは、手前から奥へ向かって縫い進めています。私はこの向きがやりやすいですが、実際には逆方向に縫わないといけない時もあります。その場合も、この手順を少し応用すれば対応できます。
では、始めましょう!
以下、手順が多そうですが、実際にやってみると、単純な作業です。
糸を通した針を表側から刺します。

通した針を途中まで引き抜きます。
すると、針の手前と奥に「2つの輪っか」ができます。

2つの輪っかの糸巻きにつながっていない方(先端側)の糸を引き抜きます。

糸が縫い穴から抜けないように注意しながら、針を引き抜きます。
すると、針の付いた糸が最初の縫い穴に通った状態になります。

縫う部分の長さの3倍くらいの糸を縫い穴から引き出します。ここでは、これを「基本状態」とします。

次の縫い穴に針を刺します。
ほつれ補修などでは、元々の縫い穴を拾いますし、パッチ当てなど元穴がない場合は、写真のように自分で付けた目印に刺します。

そのまま、いっぱいまで針を刺します。
この時、針の穴が自分の方を向いていて、かつ、糸巻きにつながっている糸が向こう側に来るようにします。

針を少し戻して、「2つの輪っか」を作ります。輪っかになっているのは表側の糸(黒)です。

裏側の糸(赤)を手前の輪っかに通します。これさえ間違わなければ、他はそれほど難しくないと思います。

裏側の糸(赤)をいっぱいまで軽く引きます。ここでは、引き締める必要はありません。

そのまま針を引き抜くと、一目縫い終わっています。

表側はこんな感じです。
表裏両面の縫い目が綺麗に揃うように注意しながら、両側の糸を引いて締めます。

この時点で「基本状態」に戻っていますので、同じ動作を繰り返すと縫い進むことができます。
こんな感じです。

縫い終わりの処理
縫い終わりを止める方法は「返し縫い」が正統派だと思いますが、私は簡単に済ませることが多いです。
写真は、最後の一目に針を刺した状態です。「2つの輪っか」を作って、向こう側の輪っかを拡げるように、表側の糸を裏側へ引き出します。

引き出した向こう側の輪っか(表側の糸:黒)を、切ります。

切った糸を針穴から外します。

「針」と「糸巻きにつながっている糸」を抜きます。そうすると、表裏の糸が両方とも裏側に出た状態になります。

あとは、2本の糸を片結びすれば終わりです。

よくあるトラブルの対処方法
実際の靴補修では、手が入りにくかったり、明かりが届きにくかったりして、思うように作業ができない場面があります。そんな時によく起こるトラブルの対処方法をご紹介します。
このように、裏側の糸(赤)を「2つの輪っか」の向こう側に通してしまうことがあります。

そこから針を引き抜くと、「基本状態」に戻らず、このような具合になってしまいます。

こんな時には、裏側の糸(赤)を軽く引いて、表側の糸(黒)を裏側に引き出します。

そのまま、表側の糸(黒)を裏側に大きく出します。

表側の糸(黒)に引っ掛かっている裏側の糸(赤)を外します。

そこから、表側の糸(黒)を表側から引っ張ります。

すると、「基本状態」に戻すことができます。

まとめ
いかがでしたか?上にも書きましたが、何度か作業すると、いちいち手順を考えなくても機械的に(まさにミシンのように)手を動かせるようになります。道具や材料をそろえるのが比較的簡単な割には、色々な補修に応用できますので、ぜひトライしてみて下さいね。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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