ロイドフットウェア ホワイトホール 自分で靴修理8 ヒールの積み上げと加工

ヒールが付きました
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作業は地味ですが、履き心地や安定感に直結する大事な工程です。苦しい前半の作業が終わると、後半はご褒美の(笑)削り・磨きが待っています。

作業の区切りがハッキリしているので、たくさん写真を撮ってしまいました。多少クドイかも知れませんが、少しずつ仕上がっていく過程をお楽しみ頂けたら嬉しいです。

革を積み上げてヒールを形成する作業

1枚目の積み上げで本底の丸みを調整します

本底の土踏まずやかかと・・・は、平らではありません。貼り付けた1枚目の積み上げ革を削って、できるだけ平面に近づけます。

本底の丸みがそのままです
1枚目を貼り付けた時の状態
おおよそ平らになりました
調整後(まだ少し丸いですね)

2枚目の積み上げは靴の傾斜にヒールの角度を合わせます

本底は前に向かって傾斜しています。2枚目では、この傾斜を調整します。

色々な方法があるようですが、私は積み上げ革を貼り付ける前に「削っては傾斜を確認」を繰り返して、かかとがベタっと接地するように調整します。

すき間をよく見ます
かかとの後ろ部分に積み上げ革を挟んで、できた隙間の形を参考に作業します
傾斜の調整後
下から2枚目の革が、
わずかにクサビ形になっています

積み上げ革を調整する作業も、私は「別たち」でやりますが、チマチマしか削れないので、労力と時間が掛かります。革包丁だと、サクサクと進むのでしょうか・・・

オルファ(OLFA) 別たち 幅45×高さ160×奥行き19mm 56B
切る、裁つ、そぐ、はがす、削るなど、幅広い用途に使える替刃式皮たちです。 特に革や樹脂シートのカットに。 刃幅43ミリ。

トップリフトを貼る前にやるべきことがあります

トップリフトのみを交換することを考えて、積み上げ革までをスクリュー釘で本底に固定します。

この釘には固定する役割に加えて、積み上げ革の密度を上げる効果もあるため、このように沢山打ち込みます

積み上げ革を貼り付ける時に、ハンマーでよく叩いておくのも同様の効果が期待できます。

スクリュー釘を打った後

釘はトップリフトに当たらないように「追い込み」をしますが、ハンマーで手を叩いてしまいそうで、怖いです。ご参考までに、敬愛する「心の師匠」のお手本動画を貼っておきます。

最後はご褒美のトップリフトです

辛かった積み上げ工程も、ようやく終わりです(笑)トップリフトが付くと、一気に靴らしくなって、これまでの作業が報われるような達成感があります。

ここで私が注意しているのは、「左右を間違えない」ことと、がっちりとは釘止めしないので「ゴムのりでの接着前に熱活性させる」ことです。

ゴムのりを完全に乾かしてから、温めると接着力が増すそうです。確かに「びくともしない」感じです。

トップリフトが付きました

ヒールの外周を整える作業

刃物で削って形状を決めます

1枚貼るたびに外周を切り回しますが、最終的に積み上がった状態で、左右のバランスや全体の雰囲気を見ながら少しずつ削って、納得のいく形状に仕上げます。

切り回した後です
一応、これで納得しています・・・

叩いて積み上げの革を引き締めます

トップリフトを貼る前に、釘をたくさん打ちましたが、さらに水を付けて叩くことで外側から革を締めます。

ハンマーの尖った方でしっかり叩いて、最後に平らな面(釘を打つ方)で叩いて凸凹をならしておきます。

金づちで叩く
「コンコン」と少し甲高い音がします。

ヒールの側面を磨いて仕上げます

それぞれの写真の、向かって右が作業前、左が作業後、の状態です。

木ヤスリでは、ハンマーで叩きまくって付いた凸凹が無くなるまで削ります。

「ガーっ」と一気に削ってしまいたいところですが、強い力で削るとそれだけ深い傷を付けることになり、この後の作業で直すのは難しいです。

私がコツだと思っているのは、できるだけ弱い力でヤスリを当てて、動かす回数で削っていくことです。

大きな凸凹が無くなって、深くない傷が全体に満遍なく付いているイメージです。

木ヤスリを掛けました

次は水で湿らせてから、小さく割ったガラス板で、木ヤスリの傷が消えるまで削ります。

これも、力を入れずに滑らせるように削ります。切れが落ちたらすぐに、新しいガラスに交換することが大事です。

ガラスを掛けました

次は、♯120の紙やすりです。写真では分かりにくいですが、ガラスで付いた細かい線や角が見えなくなるまで、じっくり掛けます。

全体が均一な表情になったら、軽く湿らせながら削り粉を落として、もう一度♯120をざっと掛けます。

♯120の紙やすり後

私は、♯240の紙やすりで終わります。♯120と同様の作業です。

湿らせるために水を付けると、ツヤが出るくらいの状態になります。

♯240の紙やすり後

アゴを仕上げて一段落

私はここまで来てからヒールの一番前(アゴ)の角度や形を決めます。

左右を揃えて目印の線を引き、内側とのつながりに注意しながら、全体の形を刃物で削り出します。

その後は、ガラス→♯120→♯240の順に磨いて終わりです。

ヒールの形を決める
アゴの仕上げ

まとめ

私にとって積み上げは、根気勝負の作業です。特に、かかとの丸みや傾斜の調整で積み上げ革を削る時は、肩から指先までがクタクタになります。

ですが、それぞれの工程での粘り強く丁寧な作業を(まさに)積み上げると、その成果は最終的な仕上がりに必ず現れます。こまめに休憩を入れながら、根気を切らさないようにするのがポイントだと思います。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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