スコッチグレイン 3526 アシュランス 自分でオールソール靴修理2 本底の取り付け

だし縫いのステッチ
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「オールソール修理」ですので、本底を取り付ける工程はメインイベントです。例によって作業に夢中になりブログの更新をサボっていましたので、ドブ伏せまで一気です。流れは分かりやすいかと思いますので、お楽しみ頂けますと幸いです。

本底の貼り付け

本底用の革は靴の形に合わせて切り出しておきます。靴底は思ったよりも丸みが強いので、正確を期して型紙を取って作業するようにしています。(切り出した革が微妙に小さいとか、悲しい失敗の経験がありますので)

土踏まずの内側と外側は厚み3ミリ狙いで漉いてあります。少し色が濃く見える部分が薄くした箇所です。仕上がった時にウェストが「シュッ」と見えるようにするのが目的です。

こういうことがしやすいのも、革を靴の形に切り出しておくメリットだと思います。

接着面は毛羽立つように木ヤスリで荒らしておきました。

本底の準備完了
裏表を間違えないように確認しながら・・・

ここから貼り付けが終わるまでは一気に作業します。

本底(の内側)にゴムのりを塗る前に、外側を水で濡らしてから、よく揉んで柔らかくしておきます。この時わずかに下凸にクセ付けしておくと貼り付ける際に馴染みやすいと思います。

柔らかくする
靴の前半分は外周だけにゴムのりを塗ります

ゴムのりをキチンと乾燥させたら、貼り付ける直前にもう一度底面をガッツリ濡らします。革は想像以上に水を吸収し、想像以上に柔らかくなります。

水でもっと柔らかくする
これを何回か繰り返します

いきなり両足とも貼り付け完了です。

土踏まずに仕込んだ革ウェルトのモッコリを含めて、全体的に滑らかな曲面が出せたと思います。地味ですが、このあたりの作業で自分の思い描く底面の形が出ていることが重要だと感じ始めています。

正しいかどうかは別として(笑)「こういう形にしたい」というイメージを持っておくことが、大事だと思います

本底の貼り付け完了
最後はハンマーの跡が残らないように優しく叩きます

ウェルトからはみ出した本底を、ウェルトとピッタリの位置まで切り回します。だし縫いのライン(位置)の精度に関わりますので、時間を掛けて丁寧に作業しました。

切り回しました
全体的にほっそりしたのがお分かり頂けますでしょうか?

ドブ起こし

今回もヒドゥンチャンネル仕上げにしますので、まずはドブ起こしの恐怖を堪能します。

靴の状態でドブ起こしをするのは3足ぶりでしたが、それにしても上手く進められません。力が入ってしまって、片足の作業が何とか終わる頃には右肩から腕が痛くなってきました。

このままでは「スパッ」といきそうでしたので、少し休憩をして頭を冷やしていると、別たちの刃を新品に替えていないことに気付きました。

刃を替えてみると、別世界でした。写真はまさに「同じ作業者でも道具が変わるとこれくらい仕上がりに差が出る」実例です。

「革包丁は常によく研いだ状態にしておくべし」という村山孝太郎氏の言葉が身に染みます・・・道具の準備も腕のうちですね。

ドブ起こしできました
左右差の原因は革質の違いもあるかも

ステッチンググルーバーで糸が収まる溝を掘れば、だし縫いの準備完了です。

今回は溝の位置を外周から5.5ミリにしてみました。これまでは7ミリでしたが、ウェルト側の穴とのズレが大きいのは良くないかも?と気付いたからです。もう少し検証が必要ですが、こんな試行錯誤が大事だと思っています。

グルーバーで溝掘り
たまに長い削りカスが出るのが楽しいです

だし縫い

だし縫いの糸と毛針(釣り用のテグスです)を準備して、ようやく「だし縫い」に掛かります。いつものことながら、独特の興奮状態(笑)に陥る瞬間です。

だし縫いを始めます
鼻息が伝わりますか?

ハイ、縫い上がりです。久しぶりでしたので思い出すのに少し掛かりましたが、毛針が糸から外れることもなく、自分的にはまずまず・・・・の出来に仕上がりました。

ちなみに糸は「3ひろ半」で仕立てましたが、写真をご覧の通り長過ぎました。反対側の足を「2ひろ半」の糸で縫って、ちょうど良い感じでした。

縫い上がり
だし針の精度も良くなってきました

ドブ伏せ

めくった革を接着して元通りに戻す工程を「ドブ伏せ」と言います。

接着する両側の面を♯60の紙やすりでしっかりと荒らしてから、ゴムのりを薄くムラなく塗って乾燥させます。

ドブ伏せの準備
右が荒らした状態で、左がゴムのりを塗った後です

底面を水で濡らして革を柔らかくしてから接着します。この時、ドブ起こし前に仕上げた底面全体の滑らかな曲面が再現するように注意しながら、押さえ付ける力を調節するようにしました。

何気なく作業すると、だし縫いを掛けた外周部に向かって曲面がつながらない(歪んだ)形になりがちです

貼り付けられたら革が乾き切る前に、こくり棒を使って全体をゴシゴシ擦ることで、さらに面を整えておきます。

次は、最近少し好きになってきたヒールの積み上げ作業です。例によって地味な記事になりそうですが、ぜひご覧ください。

読んで下さって、ありがとうございました。

ドブ伏せ完了
ほぼ思い描いた形状に仕上げられました

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