ずっと靴の構造や下地を作ってきましたが、ここからは仕上げの工程です。家や建物で言えば、壁紙を貼ったり・カーテンを掛けたり・シャンデリアを吊ったり(笑)、色々と楽しめる作業が続きます。出来上がりまで一気にご覧ください。
トップリフトに化粧釘を打ちます
ヒールの表面に見える釘は、トップリフトを固定したり、摩耗を防いだりする役割がありましたが、接着剤の進歩や路面環境の変化に伴い、装飾的な意味が強くなったようです。
ということで、真鍮釘で飾ってみました。真鍮釘の磨きを兼ねて、トップリフトのギン面をガラスで落としてから紙やすりで磨いてあります。

熱ゴテでコバや半カラスにロウを浸透させます
本底もギン面を落とし、半カラスにするためのマスキングをしました。マスキングの形を決めるのには、本底の革を切り出す時に使った型紙を活用しました。

黒くするところ(だし縫いの糸、コバ、土踏まず周辺)を早染めインキで黒く染めておきます。
グッと完成のイメージに近づく瞬間です。

染色したコバに、溶かしたロウを塗り付けておいて(写真を撮り忘れました)から、熱したコテでロウを溶かしコバに浸透させます。
作業をしていると時折「シュワー」と泡が立つことがあります(音は出ません)。液体になったロウが革の中にある微細な空隙に浸透しているのだと思われます。

ソール全体を着色して仕上げます
靴底はリペアソールステインを使って染めています。使い方には「半乾燥時に毛ブラシでならす」と書いてありますので、お手入れ用の靴ブラシを掛けていましたが仕上がりはイマイチでした。
そんな折、下でご紹介している動画に答えを見つけました。「半乾燥時にボロ布で磨く」ことにより、染まり具合が均一になり綺麗なツヤが出たのです。1年くらい引っ掛かっていた作業が進歩した瞬間でした。

小口ゴテを自作しました(使い方も簡単にご紹介します)
仕上げの靴磨きに入ろうかと思った時に、ふと思い立って「小口ゴテ」を作ってみました。
中古で買った「イチョウゴテ」の削られて使っていない部分の先端を2mmほど削り込んでみました。金ノコで溝を掘ってヤスリで仕上げることで、何とかそれらしい形状ができました。

さて、小口ゴテをどうやって使うかと言うと・・・
まず、底面のエッジに溶かしたロウを塗り付けます。小口ゴテを熱しておいて、先ほど削り込んだ段差を引っ掛けるようにしてエッジに沿って動かし、ロウを溶かし込みます。

すると、底面のエッジに2mmくらいの縁取りが現れます。見たまんまですが、額縁仕上げというそうです。
今回は、ソールステイン作業を終えてから小口ゴテを掛けましたので、ロウの浸透具合が甘い(ソールステインの色が透けています)ように感じました。次回は、作業の順番を入れ替えようと思います。
と、反省はありますが、少し工芸品のような風情が現れて、これはヤミツキになりそうです(笑)

最後に靴磨きをして完成です
最後に、普段通りの靴磨きをすれば完成です。
今回も、色々と思いつく限りの新しいことを取り入れてみました。一足を仕上げた疲れを感じながらも、たくさんの反省と気づきがあり、「次はこうやってみたらどうか」という気持ちが湧いています。
幸いにして(笑)「教材」は確保してありますので、少し休んでから次に取り掛かりたいと思います。

今回も、最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました。
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