スコッチグレイン I-0810 を自分でオールソール交換 ヒールの積み上げとベベルドウエスト加工

ベベルドウエスト
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ヒールの積み上げ

その名前の通り、かかと部分は何枚かの革を貼り合わせて形成していきます。
この時に、本体の底面が「水平な平面ではない・・・・」のをどうするのか?が、作業のポイントです。

積み上げの準備

土踏まずをモッコリさせたので、本体のかかと部分も丸い凸形状になっています。
革を積み上げることで、この凸形状を平らに戻していく訳です。

色々な方法がありますが、今回は馬蹄形に切り出した革を使って、まず外側だけを「持ち上げる」ことにしました。

作業中は靴の天地が逆ですので、地面側に向かうものを”上げ”と表現します 。

ハチマキの自作
こういう革加工も楽しいです

貼り付けて整えると、こんな感じ。
馬蹄の断面がクサビ状になっているのがミソです。

ハチマキの効果
これくらいになれば、普通に革を貼ることができます
記事を書いていて思い出した「喋らないビスポークw」の動画です

積み上げ1枚目

馬蹄の上に革を1枚貼りました。
まだ取り切れていない凸を削り落とすと、平面の完成です!

1枚目
このあと、接着面にやすり・・・を掛けて荒らしました

積み上げ2枚目

2枚目では、もう一つの問題=「水平」を調整します。
トップリフトの上に置いてみて、カタカタしなくなるまで斜めに削ればOKです。

2枚目
前半部を斜めに削っていますね

2枚目の積み上げにヤスリを掛けて接着面を荒らしてから、積み上げた革を釘で本体に固定します。

こうすることで、すり減ったトップリフトを交換する時に、積み上げが一緒に剥がれてくるのを防止できる訳です。
革靴には「修理しながら使う」工夫が随所に盛り込まれていますね。

釘打ち
どこにもピントが合っていない・・・

トップリフト

用意したトップリフトは、ラバー素材に革を貼り付けたコンビ仕様。
接着面がツルツルなので、ひたすら木ヤスリでガリガリと荒らします。大変(汗)

トップリフトの荒らし
この黒い粉を微妙に吸い込んでしまいました・・・ゴム臭い

トップリフトを貼り付けて、はみ出た部分を切り回しました。
これで、積み上げの工程は終わりです。

積み上げ終わり
モッコリがかかと・・・に突き刺さっている感じが好きです

ヒールのやすり掛け

ここまでの作業で、靴として履ける状態になっています。ですが、
「履ければいい」というモノではないんです、革靴は。

ここからは、もう一つの大事な要素=「美しさ」を求める工程に入ります。
あ、耐久性もね。

手始めに積上げたヒールの革を濡らしてハンマーでコンコンと叩き締めます。
美しさを求める作業は地味なんです・・・

ハンマーでコンコン
右腕がパンパンになります

その後は「やすり掛け」に続きます。
こちらも地味なのでダイジェストでお送りします。

ハイ!やすり掛け終了です。
この薄っすらとしたツヤが作業に対する「ご褒美」ですね。

ヤスリ掛け終了!
コンコンの効果が、ここで現れます

最後にヒールの前端部(アゴ)を整えます。
やっと、かかとの作業が終わりました。シュッとしてますよね。ね・・・

アゴもきれいに
アゴは少し斜めにしてあります

ベベルドウエスト加工

ここまで手を付けていなかったウエスト部の加工に入ります。
「ヒールが決まってからの方が、やりやすいのでは?」と思ったのですが・・・

ベベルドウエスト用に残しておいた本底の”耳”を、ウェルト側へ巻き込めるように薄く削っていきます。
まずは、別たちから。

別たち
かかとが邪魔で作業しにくかった(汗)
「別たち」さえあれば、何とかなります

指で触ってピラピラし始めたら、ガラスを使って厚みを調整していきます。

ガラス
ガラスは割るたびに切れ味の違うものができます。不思議。

指と目で具合を確かめながら少しずつ削って仕上げます。
本底とピラピラの境目が薄っすらと見えてくるのを、完成の目安にしています。

ピラピラ完成
色が変わる境目が見えますね

ピラピラの外側を水で濡らすとフニャフニャになりますので、ウェルトとアッパーの間に押し入れるようにして巻き込みます。

ベベる前
ふまずゴテを持っていませんので、こくり棒とずぼらゴテを使います

思い描く形になるまで「あーでもない、こーでもない」と、コテを使って整形しました。
革が乾くと、この形のまま硬くなります。不思議な性質ですね。

べべる後
丸く、細くしたいのですが・・・

この次は「からゴテ」という、コテを使ってウェルト周りの形を整え、強度を上げる工程に入ります。
今回の修理の課題としている「ウェルトの目付け」に向けて、ずぼらゴテの形を調整しているところです。

頭では理解できているつもりですが、どうなることやら・・・・
イメージトレーニングをしつつ、今回はここまでです。

最後まで読んで下さいまして、ありがとうございました。

コテの調整
爪の出代を小さくしています

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