今回の教材は、スコッチグレインの内羽根セミブローグ。
素っ気なさがたまらないストレートチップに対して、崩し過ぎない中で少し洒落っ気を感じさせるのがセミブローグの魅力ですね。
素敵な一足なのですが、例によって中底がどす黒く変色してしまっています。
今回の記事は、そんな中底を半ば強引に新品へと交換する様子をご紹介しながら、中底が劣化する理由とその予防法にもチョットだけ触れてみます。
ヒールの取り外し
まずはトップリフトを剥がします。私は形に憧れて釘抜きを買いましたが、ニッパーやペンチでも作業できますね。
剥がすと出てくる釘のようなものも、引っこ抜いておきました。
積み上げも外します。大きめのマイナスドライバーを突っ込んで「ひねる」ことで、ペリペリっと剥がしましょう。
ちなみに、スコッチグレインの積み上げは、ナンポウと呼ばれる集成材ですので再利用はできません。
古い中底の取り外し
中底とリブテープは接着剤で強力に貼り付けてあります。すくい縫いの糸が掛かる、重要な部位だからですね。
中底をリブテープから剥がす時には、有機溶剤で接着剤を溶かしながら作業すると楽です。
ところが、スコッチグレインの中ものはEVAスポンジを両面テープで貼り付けてあるため、接着剤がドロドロに溶けて手が汚れてしまうのです。
そこで今回は、剥がしにくい爪先の本底を剥がしてしまい、その隙間からドライバーを突っ込んで、中底を剥がす、という方法にしてみました。
爪先は芯が入っていますので、アッパーの形が大きく狂うこともなさそうです。
新しい中底の取り付け
取り外した中底の形を写し取って、新しい中底を切り出します。
リブテープと接着する部位は、ヤスリで毛羽立つまで荒らしておきました。
接着する両側にゴムのりを塗って、ベタ付かなくなるまで乾かします。
いつもの「すべり台作戦」で中底を入れたら、台金とハンマーを使って圧着します。
接着する箇所は見えませんので、だし縫いを目印にして、その少し内側をよく叩いておきました。
新しい中底が付いたら、いよいよ本底を剥がして「ご開帳」です。
キレイに剥がれました!
見えるようになりましたので、この段階でもう一度リブテープを叩いて圧着しておきます。
かかとのアッパーを止めている釘は、中底まで貫通して止まるものです。
そこで、ハチマキを外して釘を直接打ち込むことで、新しい中底にキチンと固定しました。この作業により、かかと周りがしっかりした感じになります。
本底を貼り付ける下準備
だし縫いの糸とウェルトに残った接着剤をキレイに取り除けば、分解の工程は終わりです。
ここまでの作業で、本底が外れて中底がリフレッシュしました。以前は中敷きを入れてごまかすことが多かったのですが、やはり新品の清潔感は間違いありませんね!
この後は、組み立てていく側の作業に移ります。どんなデザインにしようか、いまからワクワクしています。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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