Berwick バーウィックの革靴を自分でオールソール その4 ヒールの積上げとトゥスチール

作業風景
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かかとは革を1枚ずつ積上げて形成します。作業は地味ですが、履き心地や全体のバランスに影響するとても大事な工程です。本底の丸みや傾斜を調整しながら積上げていく様子をご紹介します。つま先にはトゥスチールを取り付けますが、こちらも試行錯誤の真っ最中です。

かかとのライニング補修をしておきました

積上げ前の一休みで、すり減ったかかと・・・のライニングに革を当てて補修しました。この後、接着剤で貼り付けるのですが、その前にシューキーパーを入れたまま他の作業を進め、クセ付けをしておきます。

ヒールライニングの補修
裏側のステッチもマズマズ揃うようになりました

では、ヒールの積み上げに入ります

ヒールを取り付ける本底のかかと部には「だし縫い」が掛かっていませんので、釘で固定します。

なぜか私は16ミリのスクリュー釘を使っています。いまの在庫を使い切ったら、普通の丸釘に変えてみようと思っています。

本底を固定する釘
内側へ向けて斜めに打ち込みます

積上げ1枚目で丸みを吸収します

土踏まずをモッコリさせていますので、まずはこれを解消する必要があります。平らになるように、別たちとガラス片を使ってひたすら削ります・・・

オルファ(OLFA) 別たち 幅45×高さ160×奥行き19mm 56B
切る、裁つ、そぐ、はがす、削るなど、幅広い用途に使える替刃式皮たちです。 特に革や樹脂シートのカットに。 刃幅43ミリ。
積上げ1枚目
どう見ても1枚では吸収できないですね

ひたすら削りました

ガラスも動員
意外にガラスが速かったりします

積上げ2枚目で傾斜を調整します

とは言うものの、1枚目で丸みが取り切れていませんので、平面を出しつつ傾斜を調整するという苦行になりました。

新品の替刃を使っても、かなり硬くて手が痛くなります。刃の研ぎ方を根本から見直してみようと思っています。

2枚目の加工中
このあたりは削りやすいのですが・・・

何とか仕上がりました。モッコリ部の積上げは、こんなに薄くなりました。

2枚目の仕上がり
削りカスが凄いです

積上げの最後に、釘で固定します。

その狙いは・・・
  • もちろん、ヒールが外れないようにするためですが、特にトップリフト交換の時に積上げが剥がれないようにする役目があると思います
  • コバ(外周)に近い部分の革の密度を上げることで、この後仕上げるコバ面が硬く狂いにくくなる意味もあるそうです
積み上げを固定する釘
釘打ちの苦手意識が少しマシになった今日この頃です

トップリフトを貼り付けます

トップリフトの準備
こういうのを感覚やセンスで決められるようになりたいです

貼り付けたら、別たちでコバを整えます。ここで決めた形状が、ほぼそのまま仕上がりの形状になりますので、色々な角度から見ながら少しずつ削るようにしています。

左右が対称になっているか?も、チェックポイントです。

積上げの整形完了
かかとが付くと一気に靴らしくなりますね

ほとんどが地面に付いた状態で見られることになるハズですので、地面に置いて、見た目のバランスを確認したりしています。

少し離れて見てみる
カメラアングルがイマイチ

最後に水で濡らしておいてハンマーの釘抜きの先で叩いて積上げ革の表面を締めます。

上でご説明しましたが、革を積み上げる時にも水で濡らしてから叩いて接着していますし、さらに釘をたくさん打ち込んでありますので、すでに革の密度は上がっているようです。叩くと「コンコン」と硬い音がして気分の良い作業です。

積上げコンコン
できるだけ強く、できるだけ平らに

トゥスチールを取り付けます

トゥスチールは少し丸みをつけてありますが、靴にあてがうと微妙に形が合いません。私の場合は、靴の方が丸みが強いことが多いです。

トゥスチールの丸みを調整する方法は絶賛模索中ですが、ゴム板の上に置いて左手で支えながらハンマーで叩くと、トゥスチールを少しずつ曲げることができました。

トゥスチールの丸み付け
ゴム板はスコッチグレインのトップリフトです

トゥスチールの固定は、次のような手順で行っています。

  1. ゴムのりで接着する(写真を撮り忘れました)
  2. ネジの下穴を開ける
  3. ゼリー状瞬間接着剤を下穴に垂らす
  4. ネジを締める
  5. コバからはみ出したトゥスチールを削る

ちなみに、「5」が圧倒的に時間を使います。

根気よく削ってみました。これまでに比べると、コバとの一体感や面の角度が良くなったと思います。自分なりに良かったと思うポイントは、

  • 爪先側ができるだけはみ出さない・・・・・・位置にトゥスチールを取り付ける→削る量が減るのは丁寧な作業に繋がります
  • 貼り付ける前に、本底の爪先に合うようにスチールの丸みを整えておく
  • トゥスチールは優しく少しずつコバと一緒に削って面を揃える

と言ったところでしょうか。まだまだ改善が必要ですね(汗)

トゥスチール削り終わり
何度もやり直しました

次はいよいよ靴の見栄えを整える仕上げの工程に入ります。恒例の地味回でしたが、最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

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