Berwick バーウィック 3637 ダブルモンクを自分でオールソール交換 その1 分解編

コッテリ
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実はダブルモンクの靴を間近に見るのは初めてですが、紐靴とは違う魅力があって格好いいですね。

今回の修理のポイント
  • モンクストラップならでは・・・・のストラップゴム交換に挑戦します。
  • ダブルソールですので、私が大好きなハーフミッドソールに改造してみます。
  • オールソール修理を受けているようですので、そのあたりもじっくりと観察したいと思います。

と言うことで、いつもより少しだけ丁寧に分解の様子をお伝えしますね。

中敷きを剥がす

この先、ヒール周りに釘を打ちますので、かかとの中敷きは剥がしておきます・・・と思ったら、しっかりした本革の中敷きが入っていました。

剥がしてみると、靴の内側の使用感は少なめです。履き始めてすぐ、フィット感向上のために修理されたものだと思われます。

中敷き
いきなりビックリ

ヒールを取り外す

本底とトップリフトはダイナイトによく似たパターンのビブラム2055に交換されていました。

まず、トップリフトを剥がします。

釘止めはされていませんので、積上げとの境目に大きめのマイナスドライバーを差し込んで、ひねる(ネジを回す動き)ことでメリメリと剥がれていきます。

テコの原理を使いたくなりますが、ひねる方が楽に剥がせます。

トップリフトを剥がす
剥がしやすい接着剤でした

積上げは釘で固定されています。この靴の場合は、オリジナルと同じく靴の内側から釘が打たれていましたので、難なく剥がすことができました。

積上げ側から靴の内側に向けて釘を打つ方法もあります。

この時、釘の先を台金に当てて曲げることで、フックを形成し抜けにくくします。

積上げも剥がす
これも簡単に剥がれました

積上げの内部に穴(空洞)が空いていますね。これは「軽量化」や「コツコツという音」が目的だと言われているようです。

自分の靴で「右足だけ穴あり」とか、試してみたい気もしますが・・・

本底を剥がす

だし縫いの糸を切って本底を剥がすのですが、その前に本底とウェルトの間の接着をマイナスドライバーで剥がしておきます。

これは、隙間からカッターを入れてだし縫いの糸を切るのと、剥がす時のキッカケを作るために最近やりだした方法です。

この靴の場合はダブルソールですので、本底とミッドソールの間を剥がしています。

ウェルトを剥がす
本底-ミッドソール-ウェルトの3層です。

靴の前半部はだし縫い・・・・の糸がすでに切れていますので、黄色い線を引いた土踏まずの部分だけカッターを差し込んで糸を切りました。

ソールはあまり減っていないのに対して、だし縫いが完全に切れているのが気になります。

こだわられる修理屋さんが、ゴムソールでもだし縫い・・・・の溝を掘る理由が分かりますね。

糸を切る部分
ブランドロゴが中央にくるように貼るのが実は難しいです

だし縫いの保持力が無くなると、接着を剥がしながら本底を取り外すことができるようになります。

本底を剥がす
中身が見えてきました

本底が剥がれました。かかとの釘はこのタイミングで靴の内側から引き抜きます。

ミッドソールは「ナンポウ」と呼ばれる集成材が使われていて、爪先は割れてしまっていました。

それほど屈曲する部分ではありませんので、曲げ伸ばしで割れた訳ではなさそうです。雨の日に履かれた際、爪先側から水が浸入して強度が落ちたのかも知れません。

本底が剥がれた様子
ちなみに左が剥がした本底です

だし縫いの糸が露出しましたので、全て取り除いておきます。

面倒ですが、嫌いではない作業です。

糸をほじくる
一目ずつ抜いていきます

ご褒美に「ぷるぅ」と糸が解けるからです(笑)

手縫いのサドルステッチと比べて、この「ほつれる」点がミシン縫いの弱点だと言われます。

ただ、この靴の場合は完全に糸が切れても本底は剥がれていませんので、致命的な弱点ではないということなのでしょうね。

上糸をぷるぅ
ちなみに土踏まずは、ほじくって除去します・・・

ミッドソールも剥がす

続いてミッドソールを剥がしました。前回のオールソール修理の際には剥がされていないことが分かりますね。

修理の観点から言えば、本底を交換した時にフットプリントをキープできるのがメリットだと思います。

中もの(練りコルク)は、やはり爪先部の劣化が激しいようです。ミッドソールが割れたのと同じ理由なのでしょう。

ミッドソールを剥がす
お食事中の方、申し訳ありません

もう一つ気付いた点。

一部分ですが、だし縫いの位置が元とズレています。これはウェルトに余分な穴を開けていることになりますので、好ましくありません。

だし縫いのミシンは靴底側から縫いますので、素人の私からすると、穴を外さずに縫う方法が想像すら付きませんが(汗)

縫い穴のズレ
向かって右側が分かりやすいです
Steve師匠はドンピシャでやってます

古いコルク(中もの)は全て掻き落とします。

すくい縫いの糸を切らないことと、リブ(テープ)を剥がさないのが注意点ですが、力任せに作業しなければ大丈夫だと思います。

グッドイヤーウェルト製法の断面
中ものの掃除
散らかりますが、やむなし

サッパリとしました。

ダブルソールのためか、オールソールのタイミングが良かったのか、中底の沈み込みとそれに伴う型崩れが少なく、良い状態だと思います。

分解完了
お食事中の方、お待たせ致しました

丸洗いする

分解ができたところで、丸洗いをします。「洗う」という目的はもちろんですが、履きジワや型崩れの矯正もしようとしています。

表面に塗り重ねられた靴クリームやワックスはお湯と石けんでは落とし切れませんので、あらかじめクリーナーを掛けておきます。

ふぅ
しっかりと落とします

キレイにしておいたつもりでも、軽く擦るだけでサドルソープの泡が黒くなって汚れが落ちているのが分かります。

汚れが溜まりやすいウェルト周りや、足が直接触れる靴の内側もしっかりと洗いました。

消臭のためか香水が掛けられていました。残念ながら、丸洗いしても香りは落とし切れませんでした・・・

丸洗い中
靴と入浴中

気温が上がってきました(5月)ので、カビや部屋干し臭が出ないように屋外で乾燥させます。

モンクストラップのゴムは在庫を持ち合わせていませんので、注文しておきました。商品が届くまでは「中もの」の工程を進めておこうと思います。

最後までご覧下さいまして、ありがとうございました。

風呂上り
「あ~さっぱりした!」と申しております

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